俺ガイル ss 魔力。 【俺ガイル・八色SS】いろは「先輩ー、おっそーい」八幡「なんでお前いるんだよ…」

【あやかしがたり】渡航328【はまち・俺ガイル】

俺ガイル ss 魔力

[chapter:ネタバレ注意。 ] 引き返すなら今だぜ。 目の前には… 「マスター。 私が準備できました、そろそろ始めましょう!」 あぁ、そんな目を輝かせちゃって… そう、今目の前でワクテカしているのは、皆が存じの青セイバーこと騎士王。 アルトリア・ペンドラゴンである。 「いや、なんで!?」 「どうしましたか?何かありましたか?」 うわー、きょとんって首傾げてるのかーわーいー…じゃねえよ。 「なんでマスターの俺が騎士王様と模擬戦?死ぬんだけど。 」 「?マスターはかなりの実力者と聞いていますが…スカサハに。 」 あのやろおおおおお!!内密にするから安心しろとか言ってたくせに…あのBBAは信用できねぇな… 「はぁ…別にいいけどよ…満足させられなかったら悪いな。 なるべく期待には応える。 」 「はい!それじゃ始めましょう! …マシュ!合図をお願いします!」 『お任せください…!』 見てたのかよ、止めてくれよ…なんでそんな楽しそうなのさ。 『では…』 まぁ仕方ねぇか…相手はあの騎士王だ、手を抜く余裕もない。 マジだやらねぇと瞬殺だ。 真正面から正々堂々戦ってやる…無謀でもな。 行くぜ、『煉獄』…うん、機嫌がよさそうだな。 「加減はしませんよ、マスター。 」 「はっ、そうかよ…なら俺も遠慮はしねぇよ…」 「いざーーー」 「尋常にーーー」 『戦闘開始ーーーっ!』 「「勝負っっっっ!!!!」」 どんっ! その音は両者が地面を踏む抜いた音。 加減したろ、お前…じゃなきゃ片手だけで受け止められるわけあるか。 」 「…すいません、サーヴァントではないマスターに本気で攻撃するのは…私は加減してしまいました。 けど、問題なさそうですね…」 「……」 「真剣勝負。 手を抜いたことを謝ります。 そして、ここから全霊でお相手します。 …行きますよマスター!」 「っ!…そのまま加減してくれた方が楽なんだがな…っ!」 鍔迫り合いから、セイバーは俺の刀を力だけで押し退ける。 「ぐっ!(とんでもねー力だっ…!)」 上に退けられ、腹部が隙だらけになる。 騎士王がそんなデカい隙を逃すはずもなく… 「はぁああ!!」 すぐさま剣戟を放ってくる。 だがーーー 「!」ブンっ! 瞬間移動でもしたかのようなスピードでセイバーの背後に迫る。 ガキン! 「ちっ…流石の反射神経だな…これじゃ決まらねぇか。 」 「今のは…縮地ですか。 どんどん行くぜ? 」ゴゴゴッ! 「ーーーーっ!!(魔力放出!…なんて魔力量…!)」 ガキン!ガキン!ガキン!ガガガガッッ!!! 剣と刀。 剣戟の応酬…普通のサーヴァントではもはや目も体も追いつかぬ。 …ではーーーー」 セイバーから爆発的に魔力が放出される。 」ゴゴゴッ 「え?ちょっ待って、あいつが勝手に置いてっただけで…」 「ならなんで、丁寧に折りたたんであるんです?」 「あ、あああいつが取りに来た時に折りたたんであったら楽でしょ?…いろいろと…」 「…まぁいいでしょう。 では、今オルタが着ているマスターのYシャツはどいうことですか?」 「なんでわかんのよ!?」 「マスターの匂いですが?」 「(こいつどんだけアイツのこと好きなのよ…)」 「さぁ、洗いざらい吐いてもらいますよ…!」 「もう帰れぇえええーーーっ!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 医務室 「今の魔力…?マスターですか…」 「どうしたのー?もしかして、今の音のことー?」 「ええ、そうです、ジャックさん。 …噂でマスターは強いとされていましたが…この魔力の跳ね上がりよう。 噂は確かみたいです。 」 「おかあさん強いよー!だって、私たちを守ってくれるもんー!」 「ええ、そうね。 あの人はいつだって全力で不器用で、ふふ。 なぜでしょうか、彼の話になると動悸が激しくなるのを確認します。 」 「あーっ!それって恋ってやつだよっ!清姫が教えてくれたんだー!婦長さんはマスターが好きなんだね!私もだよ、一緒!」 「…恋。 ですか、生前では全く経験したことのないこと…ふふ、私も立候補しようかしら?」 「ねー!マスターのところ行こうよー!何がったか見たい!」 「いいわよ。 行きましょうか…(第一訓練所からね、模擬戦でもしたと推測。 )」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ちょっとノッブー!もうすこし静かにオナラしてくださいーとんでもない大きな音でしたよ?」 「いやいやそんなわけないだろうがぁ!?わかってるくせに変なこと言うんじゃないわいっっ!…訓練所で誰かが模擬戦でもしてたんじゃろ…」 「いえ、この魔力…青セイバーさんと、マスター…?えっ?」 「…マスターの魔力だな。 」 「「………。 」」 「…あの噂は本当だったかもしれませんね…行きますよノッブ。 」 「お主…マスターと模擬戦する気満々じゃな…儂はせんぞ…まぁ見に行くが。 」 「そうと決まれば行きますよーっ!」 「あああぁ!引っ張らなくとも行くわぁあ!!ちょっ擦れていたっちょ聞いてるのか!?ぎゃぁぁあああ!!!」 カルデアにいるほとんどの英霊が反応した。 興味本位で見に行くもの、模擬戦を申し込みに行くもの、ただマスターに会いたいだけのもの… カオスな祭りが始まる…かも。 -------ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー はぁ…はぁ… 「流石…エクスカリバー…っ…アルトリアは…?」 砂埃が消えると… 「…………。 」 気を失って倒れているセイバーが見える。 「…(え?嘘…え!?俺エクスカリバーに打ち勝ったの!?)」 「…んっ…うぅ…」 「セイバー!…大丈夫か?」 「えぇ、大丈夫ですマスター…ふふ、私の負けです。 まさか宝具まで打てるなんて…流石私のマスターです。 」 「いや…でも、俺じゃあエクスカリバーに打ち勝てるはずないんだがな…でも、ありがとよ…立てるか?」 「えぇ…立てm(いや、立てないと申したら…だ、抱っこしてもらえたり…)すいません、厳しいようです。 すいません…」 「ん?あぁ、気にすんなよ…仕方ない。 早く医務室に連れていきたいから、悪いが持ち上げるぞ。 」 「(きたー!)は、はい…お願いしますねマスター。 そして、ありがとうございます。 」 「気にすんなよ。 俺はお前たちのマスターだ、俺にできる限りのことはやってやりたいと思ってる。 」 「…ありがとうございます。 (この優しさが暖かくとても心地いい…)」 『私たちが見ているの忘れてますね…あれ。 うぅ、先輩ぃー…』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「あーっ!おかあさんいたー!…ってなんでセイバーさんを抱えてるのー?」 「いや、立てないみたいだから抱えて医務室へ行こうってなってな。 」 「…そうですか、ですが大きな傷はなさそうですが。 」 「あ、婦長さん。 」 「」ダラダラ 「って今なんて?」 「だから、大きな傷はないようですし、立てないほどではないかと。 」 「って言ってるけど…どうなんだ?セイバー。 」 「…はい、すいませんマスター…」 「いや、謝んなよ。 その、無事でよかったしいいだろ。 医務室にはいかなくていいな?」 「はい…大丈夫です。 (思わぬ邪魔が入りましたね…諦めましょう。 )」 「じゃあ、下すぞ。 」 「あのマスター?…」 「ん?」 「もうアルトリアとは呼んでくれないんですか?」 「おかあさん、名前で呼んだのー?珍しいねー」 「…(ずるい。 )」 「あ、いや、あんときは必死で、ついな…嫌だったよな、すまん。 」 「いえ、嫌ではありませんし、むしろこれからもそう呼んでいただいて結構です。 私も八幡と呼ばせてください。 」 「え?あぁ、分かった。 アルトリア。 模擬戦ありがとうございました、次は勝ちますよ。 では…失礼します八幡…。 」 礼儀正しく一礼すると、自分の自室のほうへ歩いていく。 「…っておかあさんセイバーさんに勝ったのー!?」 「えぇ、私も驚きました。 まさか騎士王に…」 「んー…まぁ勝ったんだが…正直エクスカリバーを打ち消す勝算なんてなかったんだが…」 「…セイバーさんの宝具に打ち勝てる力があると他の方に知られたら…」 「…やめてくれ…うん、今すぐにも来そうだな。 婦長さん匿ってくれね?」 「いいですよ。 」 「(わー婦長さん即答だー、おかあさんのこと本当に好きなんだねー…ここは譲ってあげようかな、頑張ってねー。 )」 この後、婦長の部屋で過ごした。 というか匿ってもらって正解であった、模擬戦の後ほかのサーヴァントが訓練所に押し寄せ誰と誰が模擬戦していたかを… マシュも勢いに押され、白状した。 結果を聞くと円卓組みとケルト組など戦闘狂どもは俺を探し始めた。 まさか俺が婦長さんの部屋にいるとは思わんだろう…ふははははは!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ふふふ、流石八幡です!遂に一緒に戦えるんですね!」 「まさかあの女に勝てるなんてね…まぁ、ひ弱なマスターより百倍良いですのでいいですが…というか、なぜ婦長の部屋に?」 はい、白黒聖女二人にはバレました。 なんで? 婦長は少し不機嫌になってたが、四人で談話していくうちに直っていき、楽しく過ごせた。 「次は私とね、マスター。 」 「あまり無茶しないでくださいね?」 「怪我をしても私が治療してあげますから。 」 俺はサーヴァントにかなり愛されているようだ。 「それで、なぜ八幡の下着や上着がオルタの部屋にあったか聞かせてください。 」 …あぁ、やばいかもーーーーー fin [newpage] ネタばれのオンパレード。 まぁ、そのうちすぐ出るからいいかなって…まぁ、そうなると限らないかも?(?) では本編でお会いしましょう。

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転生したら転スラの世界だった件!?

俺ガイル ss 魔力

25 ID:H2NPC8NBo 恵美「魔王が一般人に暴力を振るったですって……!?」 鎌月鈴乃からのその電話の内容に、遊佐恵美は驚愕した。 彼を倒す使命を背負い、この日本にやってきた勇者である彼女にとって、それは見過ごせない情報だった。 いくつかの事件を経て、真奥と敵同士であるという事実は変わらないものの、 この日本で真面目な一般人として過ごす彼の姿勢だけは認めざるを得まいと思っていた矢先だ。 鈴乃「今夜、少々遅い時間に駅前のスーパーに買物に行ったときのことだ。 店から出てくる魔王とアルシエルを見かけた」 鈴乃「アルシエルだけならたまにスーパーで会うことはあったが、魔王がいるのは珍しいなと思いながら店に入ると」 鈴乃「……店内には、傷つき倒れた無数の人間達の姿があったのだ」 彼らは何とか立ち上がりながら、口々に言ったという。 80 ID:H2NPC8NBo 恵美「……まさか、そんな。 それが本当だとしたら……」 鈴乃「不可解な話だが、奴らはその正体をあらわにして、人間達を襲ったということになる」 不可解、と彼女が言った意味は恵美にも分かった。 仮に襲ったとして、被害者が生存していること。 鈴乃「どうにも腑に落ちん話ではあるが、放っておくわけにもいかないだろう」 鈴乃「また奴らが二人揃って出かけることがあれば連絡する。 共に様子を見に行ってはくれないか」 恵美「勿論よ。 家で待機しておくようにするわ」 電話を切り部屋に静寂が戻ると、恵美は自分が思っている以上に動揺していることに気がついた。 恵美(……あいつらを信用なんて、していたわけじゃない。 所詮あいつらは悪魔なんだから) そう心中で嘯きながらも、何かに裏切られたような気持ちが消えることはなかった。 41 ID:H2NPC8NBo 恵美「……ここね」 鈴乃「ああ」 数日後、鈴乃からの連絡を受け、二人が来たのは笹塚駅前のスーパー。 時刻は二十時を回っている。 この日、魔王はバイトが休みだったようで、一日家に居たという。 恵美「埒があかないわね。 あいつらに見つからないように、中に入りましょうか」 その提案に鈴乃も頷き、二人は店内に入った。 外の熱気から一転して、エアコンの冷気が汗をかいた身体に心地良い。 だが、それは違和感のあるものだった。 人がスーパーに来る理由は買い物以外にあるまい。 だが彼らは、手にカゴも持たず、製菓コーナーで適当に棚を見つつも、何も買う様子はなかった。 その姿は、 鈴乃「……まるで、何かを待っているようだな」 恵美「あいつらだけじゃないわ。 店内にいる多くの客は、そのような存在は気にもとめず、自身の買い物を済ませている。 その中にあって、真奥達を含む数人は、ただ漫然と立ち尽くしていた。 85 ID:H2NPC8NBo そのとき、店内の雰囲気が変わった。 従業員用の扉が開かれる。 中から出てきたのは店員と思しき男。 彼は手に何かを持ち、弁当コーナーにゆっくりと歩いて行った。 鈴乃「……半額シールを張っている、のか?」 店員は売れ残っている数個の弁当にシールを張っている。 何のことはない、珍しくもない光景だ。 弁当のような保存の効かない商品は、売れ残る気配があれば 店にも依るが十パーセントや二十パーセント、それでも売れなければ半額まで値が落ちることがある。 だのに、その普通の光景を見ながらも鈴乃が疑問の声を上げた理由。 それは真奥達の様子にあった。 先ほどまで、ただ時を待っていた様子の彼らが、真剣な目でシールを張る店員を見ている。 彼らの様子からはまるで、その半額シールを貼る行為が神聖な儀式であるかのような錯覚を受けた。 やがて店員はシールを張り終え、扉に戻る。 店員が扉の中に入り、扉が閉まったその瞬間。 弁当コーナーは戦場と化した。 19 ID:H2NPC8NBo 店内のあちこちで待機していた数人の男女が、全速力で弁当コーナーに駆け寄る。 それは勇者である恵美の目から見ても驚嘆すべき速さだ。 とても地球の人間の運動能力とは思えなかった。 真奥「行くぞ芦屋!」 芦屋「はっ!」 見れば、真奥達も同じく、弁当コーナーに走り出していた。 恵美「なっ……」 彼女が絶句した理由は、彼らの出で立ちにあった。 真奥の頭から角が生えている。 芦屋の身体を鱗が覆っている。 かつて何度か見たような、完全な悪魔化ではない。 だが今の彼らの姿と内包する力は、人間のものではなかった。 真奥「おおおおおおっ!」 真奥が走りながら拳を振りかぶる。 それはただの拳ではなく、魔力の奔流を纏っていた。 恵美「……! やめなさい、魔王っ!」 咄嗟に上げた静止の声など届かず、真奥の拳は近くを走る男に叩きつけられた。 男はそれをまともに喰らい、実に数メートル以上吹き飛ばされ、壁に激突した。 彼はそれきり、動かなかった。 同じ思いが恵美と鈴乃の頭を支配していた。 仲間などではない。 だが人間に危害を加えるような存在でもなくなったと、そう思っていた。 鈴乃「っ! エミリア、あれを!」 呆然としていた恵美の正気を取り戻させたのは、一足先に我に返った鈴乃の叫びだった。 彼女の指差す先を見れば、そこには信じ難い光景。 魔力を纏う真奥に対して、殴りかかる人間達の姿があった。 繰り出される拳は、蹴りは、真奥の足を止めるばかりか、ダメージすら与えているようだった。 86 ID:H2NPC8NBo 芦屋「魔王様、ここは私にお任せを! 弁当に急いでください!」 真奥「分かった、任せる!」 目の前の人垣をすり抜けて真奥が弁当に向かう。 それを防ごうとする彼らの前に、芦屋が立ちはだかった。 芦屋「行かせはせんぞ! 魔王様の邪魔をしたくば、この悪魔大元帥アルシエルを倒してからにしてもらおう!」 恵美「名乗るなぁぁぁぁっ!!」 戦いでテンションが上がったのか堂々と本名を名乗る芦屋に、思わず恵美が叫んだ。 その声を気に留める者はおらず、彼らは弁当コーナーに辿り着くため芦屋に攻撃を加えた。 しかし鱗に覆われた芦屋の身体はそれらを尽く弾く。 弁当を手にした真奥が叫んだ。 真奥「取ったぞ! 芦屋、お前も急げ!」 芦屋「はっ!」 芦屋が群がる人間達を念動力で吹き飛ばす。 それは軽いもので、彼らは一歩後ろに下がったに過ぎなかったが、芦屋が弁当を手に取るには十分な隙だった。 53 ID:H2NPC8NBo 真奥「よし、よくやった芦屋!」 芦屋「お褒めに与り光栄です、魔王様」 弁当コーナーの側で部下を褒める真奥と跪く芦屋。 不思議なことに、先ほどまでの光景が嘘のように、彼らに攻撃する者はいなかった。 代わりに、未だ弁当を手にしていない者達で残りの弁当を争い戦っている。 それを尻目に、レジで二つの弁当と、漆原の分であろうどん兵衛を購入し、入り口のほうに歩く真奥が恵美と鈴乃に気づいた。 真奥「あれ、何してんのお前ら」 恵美「あなたが何してんのよぉぉぉ!?」 思わず頭を抱え絶叫する恵美だった。 隣の鈴乃も微妙な顔をしている。 凄惨な光景を想像して来てみれば、そこには魔王と互角に殴りあう人間達の姿。 それは戦闘と言うよりも、スポーツで競っているとでも形容したほうが正しいような雰囲気だった。 見れば最初に殴り飛ばされた男も起き上がり、カップ麺を買っている。 二人には何が起きたのかまったく理解できなかった。 持ち越せるようなもんじゃない」 真奥「半値印証時刻(ハーフプライスラベリングタイム)にならないと発動しないんだからな」 恵美「ハーフ……何?」 疑問の声を上げる恵美を手で制して真奥が言う。 真奥「説明なら帰りながらしてやるから、行こうぜ。 33 ID:H2NPC8NBo 数日後、再び笹塚駅前のスーパーを訪れる恵美と鈴乃の姿があった。 鈴乃「……で、どうする気だ? エミリア」 恵美「……そうねぇ」 若干投げやりに答える。 先日の真奥の言葉を信じるのなら、放っておいてもいい気はしていた。 彼らには腹の虫の加護が与えられ、人間離れした力が与えられるとか。 真奥達が魔力を取り戻したのもその作用であるようだ。 たまたまその光景を目撃した芦屋が真奥にそれを報告した結果、彼らはそれに参戦することを決めた。 真奥が夜のバイトを入れていない日のみ弁当争奪戦に参加し、半額弁当を購入しているそうだ。 こんなときでもなきゃ肉は食えないんだぞ、そう言って半額のハンバーグ弁当を 自慢げに見せつけてくる仇敵の姿に、虚しさと切なさを感じた恵美だった。 恵美「狼ねえ……」 その胡散臭い存在を思い、恵美が嘆息する。 彼らの中で一際強い者、目立つ者には二つ名が与えられることがあるらしい。 恵美「まあ……もっかい様子を見てみて、言葉通りみたいなら放っときましょうか。 アホらしい」 鈴乃「そうだな」 取り戻した魔力を振るえるのが弁当を買うためだけというのなら何の危険もない。 二人は真奥達が入店したスーパーに入った。 21 ID:H2NPC8NBo 同時刻、笹塚駅に降り立つ三人の男女の姿があった。 厚底のブーツが印象的な鋭い目をした少女に、髪を後ろで括った眼鏡の少女、 そしてもう一人は中肉中背でこれといった特徴のない少年だった。 「……けど、何で笹塚なんですか? いつも合宿と言えばもっと遠くに行ってましたよね」 少年が一人目の少女に問うた。 少女が笑って答える。 「合宿というほどの大げさなものじゃない。 談笑しながら三人は駅を出ると、すぐ近くに見えたスーパーに入店した。 12 ID:H2NPC8NBo 恵美「あれ、千穂ちゃん?」 千穂「遊佐さん、鈴乃さん! こんばんは~」 恵美と鈴乃が店に入ると、意外な姿があった。 この世界の友人である佐々木千穂だ。 鈴乃「千穂殿、何故こんな遅くにスーパーに?」 千穂「えと、変に思うかも知れないんですけど、実は半額弁当を買いに……」 恵美「……え。 もしかして千穂ちゃんも、狼とかいうやつなの?」 千穂「あ、知ってるんですか?」 千穂が顔を輝かせた。 真奥から聞いた話を恵美がすると、納得したように彼女は頷いた。 千穂「私はまだまだ弱くて、あんまりお弁当を取れたことがないんですけどね」 恵美「その……千穂ちゃん、危ないからやめたほうがいいんじゃない?」 彼女が心配気にそう言ったのも無理からぬことだ。 腹の虫の加護というのがどの程度のものかは分からなかったが、 先日の戦いを見る限り、あれに千穂が混ざるのは危険過ぎるように思えた。 44 ID:H2NPC8NBo 千穂「心配してくれてありがとうございます。 でも……」 そこで千穂は、製菓コーナーで立っている真奥の姿を見た。 千穂「普段の戦いで私、何もできないじゃないですか」 千穂「その私が、ここでだけは真奥さんと並んで戦える。 それがすごく嬉しいんです」 恵美「……千穂ちゃん」 彼らには、度々元の世界からの刺客の魔の手が襲いかかっている。 真奥も恵美も、それに千穂を巻き込まないように考えているのは共通の思いだったが、 千穂にしてみれば友人の役に立てない自分の不甲斐なさを感じていたのかも知れない。 千穂「それに」 彼女の瞳が光った。 その表情はまるで、子供がとっておきの秘密を教えるかのよう。 二人も良かったらどうですか?」 彼女の言葉に、恵美と鈴乃は顔を見合わせた。 98 ID:H2NPC8NBo そのとき。 千穂「……っ!」 千穂が竦んだ。 理由は恵美にも鈴乃にも分かった。 開いた入り口から感じられる、とてつもないプレッシャー。 三人の、学生服を着た男女がそこにいた。 真奥と芦屋と、そして店にいた数人の狼の目がそちらに集中する。 真奥の目が険しくなった。 畏怖するように千穂が呟く。 ……ものすごく強い狼だって」 確かに、先頭を歩く少女からは、言い知れぬ力を感じた。 まだ半値印証時刻前であり、開放されていないだろうその力は、しかし大天使のそれに匹敵しかねない圧力を滲ませていた。 53 ID:H2NPC8NBo 鈴乃「……後ろの二人にも、その、二つ名とやらはあるのか?」 鈴乃が聞く。 魔女の後ろには、それほど目立つ力を感じない少年と少女。 千穂「……女の人のほうは知らないです。 でもあの男の人は、もしかしたら魔女の後輩だっていう」 千穂がごくりと唾を飲んだ。 魔女「……ん? どうした佐藤」 変態「いえ、何でも……何でもないです」 こちらは声の届いていなかったらしい魔女が振り向くが、涙を流す変態はそれ以上何も言わなかった。 84 ID:H2NPC8NBo 瞬間、店の空気が張り詰める。 恵美が従業員用の扉を見れば、そこには先日と同じ店員が姿を見せていた。 店員が弁当に半額シールを張り出す。 残っている弁当は、唐揚げ弁当、とんかつ弁当、鯖の味噌煮弁当の三つ。 三人の闖入者を加えて、店内の狼は十人を超える。 死闘は必至だった。 恵美「千穂ちゃん……」 千穂「……大丈夫です。 行ってきます」 彼女らしからぬ勇ましい顔で、千穂が言う。 やがて店員はシールを張り終え、扉の中に戻っていった。 狼達が怒号を上げる。 全員が弁当コーナーに走り寄り、辺りは混戦の体を成した。 23 ID:H2NPC8NBo 一際速く弁当コーナーに駆け寄り、そのままの勢いで弁当に手をかけようとする魔女の姿があった。 が、立ち止まる。 迎撃のためだ。 手が届くより先に、敵の攻撃を喰らうと彼女は判断した。 真奥「っらぁ!!」 真奥が横合いから渾身の力で殴りつける。 その勢いには女性に対する思いやりも何もなかった。 当然だ。 この場は、戦場なのだから。 常人ならば一撃で倒れるであろうその魔力の篭った拳を、魔女が紙一重で躱す。 そのままの勢いで身体を回転させ、逆に飛び上がりながらの回し蹴りを放った。 真奥がそれをアームブロックで防ぎ、反動で二人の距離は離れた。 魔女「……驚いた。 本当に角が生えているんだな。 狼にも色々いるものだ」 真奥「こっちこそ。 俺の部下にならないか、あんた」 魔女「生憎だが。 私にも導かなければならない後輩がいる」 互いに弁当を取られないよう牽制しつつも、二人は笑いあった。 誰もが殴り合い弁当に近づけない混戦の中で、そこだけは時が止まったような静けさがあった。 二人が示し合わせたように、互いに向けて地を駆ける。 そのまま二つの拳が交差した。 10 ID:H2NPC8NBo 千穂は焦っていた。 先頭集団に出遅れ、彼女は混戦に巻き込まれていた。 これら全てを倒して弁当に辿り着くのは現実的ではない。 その前に、誰かが数の少ない弁当を取ってしまうだろう。 千穂「何か、手は……!」 近くにいた者の攻撃を防ぎながらも思案する。 その彼女の頭上に、影が落ちた。 千穂「えっ!?」 見上げればそこには変態の姿。 いかなる術を使ったのか、彼は高く飛び上がり、天井に足をつけていた。 まるで、魔術のように。 千穂(……いけない! あれを放置したら……) 変態「おおおおお!」 変態が天井を蹴る。 その軌道は、まっすぐ弁当コーナーに向かっていた。 しかし、 変態「うぼぉっ!?」 千穂「てやあっ!」 手近な人間を踏み台にして自らも飛んだ千穂が、変態に飛び蹴りをかます。 勢い良く吹き飛ぶ変態と千穂。 彼らはそのまま、集団を抜け弁当コーナー近くまで抜けだした。 85 ID:H2NPC8NBo 千穂(今!) 魔女が視界に入るが、彼女は真奥と鍔迫り合いを繰り広げている。 横合いから魔女に一撃を加え、その隙に真奥と二人で弁当を取る、そう筋書きを立てる。 だが、その足は止まった。 千穂「きゃあっ!?」 変態「させるかぁぁぁっ!」 変態が千穂に抱きつくようにして押し倒した。 千穂の上に乗り、その襟首を掴んで止めの拳を振り上げる。 変態の動きが止まる。 千穂「……いやあああ、変態ーっ!」 変態「ごめんわざとじゃなぐふっ!」 千穂の突き上げた拳が、変態の顔面に突き刺さった。 21 ID:H2NPC8NBo 芦屋「くそ、何だこいつは……!」 芦屋の顔を汗が流れる。 一刻も早く真奥を助けに行かなければならないというのに、そうできない理由があった。 彼の目の前には魔女の連れていた眼鏡の少女。 拳も、念動力すらも、全てを霞のように躱しているのだ。 まるで死霊系の魔物を相手にしているような感覚が芦屋にはあった。 不可解なのはそれだけではない。 彼女は芦屋の攻撃を避けながら、幾度も彼に触れているのだ。 それは攻撃と呼べる強さを持たず、文字通りただ触れているだけのようだった。 だのに、触れられるたび芦屋の背に恐怖が走る。 芦屋(こいつは何をしている……いつでも倒せるのに私を嬲っているのか……!?) 焦りから、大ぶりの拳を放つ。 それを躱した少女が、芦屋の背後に回り込んだ。 ふと、耳元で囁く声があった。 地獄から響く怨霊のような声が。 少女「あなたは……攻めですか? 受けですか? 悪魔大元帥さん」 その言葉と共に、少女は芦屋の尻を深く撫でた。 芦屋「ヒィィィィ!?」 その手に呪いでもかかっていたかのように、それは芦屋に許容値を超えた恐怖を与え、彼を失神させた。 31 ID:H2NPC8NBo 真奥「芦屋! ……ぐっ!」 芦屋の魔力が消えたことを感じた真奥が一瞬振り返った隙を逃さず、魔女が蹴りを放った。 咄嗟に身を捩り致命傷は避けたものの、真奥は大きく後ずさって膝を付いた。 その横を駆け抜ける怨霊の姿。 気づいたときには、どうやって混戦を抜けたのか、目にも留まらぬ速さで眼鏡の少女がとんかつ弁当を手にしていた。 続いて魔女も弁当に手を伸ばす。 千穂「やらせないっ!」 脇を見れば、顔を抑えてうずくまる変態を振りきって駆け寄る千穂の姿があった。 真奥「やめろ、ちーちゃんの敵う相手じゃない!」 忠告は無意味だった。 魔女が千穂の拳を容易く避けながら、その胸に掌底を放つ。 勢い良く吹き飛び、倒れ伏した千穂は起き上がれなかった。 魔女が鯖の味噌煮弁当を手にする。 魔女「あと一つだぞ、佐藤。 唐揚げが食べたいと言っていただろう」 言いながら魔女は弁当コーナーを離れる。 見れば、唐揚げの単語に反応したのか、変態が起き上がろうとしていた。 彼は真奥よりも弁当コーナーに近い。 脅威はそれだけではなかった。 弁当が残り一つとなった今、最早一刻の猶予もないと判断したのか、 乱闘していた狼達が真奥の背後から弁当に向けて駆けていた。 前門の変態、後門の狼。 いかな真奥と言えど、傷ついた今、この状況を打開する術は思いつかなかった。 04 ID:H2NPC8NBo 真奥「くそっ……!」 歯噛みする。 真奥の背後の狼達を拳で一掃した恵美の姿があった。 恵美「だらしないわね、魔王」 見下ろすようにして彼女が言う。 恵美「あなたを倒すのはこの私よ。 どんな戦いだろうと、それまで負けることは許さない」 毅然としたその言い分に、思わず真奥が笑みを零した。 真奥「……言われるまでもねえっつうの」 立ち上がる。 見れば変態もちょうど立ち上がったところだった。 ……鼻血が痛々しかったが。 真奥「よう、決着をつけようぜ、変態」 変態「それやめてくんない!? ……望むところだ、魔王!」 立っているのは真奥と変態のみ。 互いに邪魔をされる前に弁当を取れる位置ではない。 ならば……雌雄を決するだけだった。 20 ID:H2NPC8NBo 「「うぉおおおおお!!」」 駆け寄り、残った力を振り絞り殴りあう。 ダメージは真奥の方が大きかったが、変態は何かの理由で腹の虫の加護が弱まっているのか、 結果として互いに譲らぬ打撃戦となった。 変態が攻撃のリズムをずらし、真奥の太腿に平手を放った。 真奥「っ!?」 途端、がくんと真奥の膝が崩れる。 どんな術を使ったのか、毒でも受けたように打たれた足が動かない。 その隙に変態が弁当に手を伸ばそうとするが、 真奥「……させるかよ!」 残った微かな魔力で精製した魔力弾を変態の足下に放つ。 変態「うおっ!?」 予想もしなかった牽制に変態が後ずさる。 何をされたか気にする余裕がないのか、それとも狼の中にはもっと怪しい技を使う者がいるのか、 変態は魔力弾をそれほど気にかけることもなく再び真奥と対峙する。 互いに大した力は残っていない。 戦いの最中だが、つい釣られて真奥もそちらを見ると、 恵美「……ん? ああ、ごめんね。 78 ID:H2NPC8NBo 真奥「ちくしょう、恵美のやつ……」 芦屋「申し訳ありません魔王様、私が不甲斐ないばかりに……」 千穂「負けちゃいましたねー」 三人揃って敗北の証、どん兵衛を購入した。 芦屋は屈辱のあまり涙すら流している。 あるいはそれは、恐怖の涙だったのかもしれない。 その横を、魔女達三人が通り過ぎ、店を出て行った。 一瞬、互いに視線を合わせる。 言葉は交わさない。 狼同士の交流など、拳以外に必要ない。 真奥「またあいつら来たらボコボコにしてやろうな、ちーちゃん」 千穂「はい! ボコボコです!」 彼女は意気込んで答えた。 35 ID:H2NPC8NBo 芦屋「……しかし、少し気になっていたんですが……」 真奥「お前もか? ちーちゃんも?」 千穂「はい。 あの変態さんですよね?」 三人は目を見合わせて頷いた。 真奥「なんか漆原に声が似てたな」 芦屋「ですね。 まあ変態ですし」 千穂「変態さんはああいう声になるんですかね?」 揃って腕を組み、今も魔王城で無為な時間を過ごしているであろう社会不適合者の悪口を言っていると、 恵美「あ、いたいた」 鈴乃「間に合ってよかった、千穂殿」 レジを済ませた二人がやってきた。 恵美は唐揚げ弁当に惣菜、鈴乃も惣菜類を手にしている。 35 ID:H2NPC8NBo 真奥「お前、唐揚げ弁当食った上にまだおかず食うのか? 太っても知らねえぞ」 敗北の屈辱から、少々刺のある口調で真奥が言うと、恵美が答えた。 恵美「違うわよ、あなたたちこれからアパートでご飯にするんでしょ? 千穂ちゃんも」 千穂「はい、そのつもりです」 恵美「だったら……」 そこで彼女は言いづらそうに言葉を止め、やがて仏頂面で続けた。 恵美「……私達も行くから。 唐揚げ分けてあげるわよ。 あんたたちにも」 真奥達を敵対視している恵美のものとは思えない言葉に、真奥と芦屋が目を丸くする。 それ以上何も言わない彼女をフォローするかのように鈴乃が言った。 鈴乃「まあ、戦果を掠め取るような勝ち方では、勇者の誇りに傷がつくものな?」 恵美「……そういうことよ。 だから山分け。 いいわね?」 それ以上の問答は無用、とばかりに恵美が歩き出す。 一瞬後、真奥達も互いに笑い合ってその後に続いた。 59 ID:H2NPC8NBo 外に出る。 夜も更けてきたとはいえ、夏の暑さは変わらなかった。 恵美「……あ」 真奥「どうした?」 ふと気づいたように、レジ袋の中身を確認する恵美に真奥が問うと、 恵美「いや、この弁当の唐揚げの数、五つだなって」 五人が顔を見合わせた。 真奥「……まあ、漆原はいいか」 恵美「そうね」 あっさりと結論を出す二人に、誰からも異論は出ない。 魔王城で自堕落を極めている堕天使に、そのことを知る由もなかった。 91 ID:H2NPC8NBo 以上です。 vip2ch. メタ情報•

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【あやかしがたり】渡航328【はまち・俺ガイル】

俺ガイル ss 魔力

俺ガイル 日常の何気ないエロス。 - (2) ハーメルン 俺ガイル 日常の何気ないエロス。 (2) 翌日、土曜日。 俺は陽乃さんに呼び出されて、昼間にサイゼに来ていた。 正直超億劫だけど、来てしまった。 別に弱みを握られてる訳ではない……けど。 昨日の別れ際に悶える所を見られたのが致命的だった。 あの後家に帰ると、誰かしらから聞いたのか、LINEで突然望まないメッセージが届いた。 まあ、わたしはしっかり覚えてるけど。 で、明日なんだけど』 と鬼のようなメッセージが送られてきて、もはや従うしかなかった。 話題を切り替える前に改行しないで敢えて空白を入れる感じがもう引くほど恐い。 ああもうしんどい、超恐い。 あの人なら記憶に留めておくだけであらゆる悪事に有効活用出来そうなんだもん。 悪事って言っちゃった。 そんなこんなで、陽乃さんに引っ掻き回されているのを十二分に自覚しながらのサイゼ遠征(心理的に遠征)と相成った。 サイゼに入って、陽乃さんを探すこと十数秒。 「おー、来たか少年。 こっちこっち」 「……ども」 本を片手に持った陽乃さんが、笑顔で手を振って俺に視線をやっただけで、周りの客(主に男)の「なんでこんな奴と……」という嫌悪の視線が痛い程突き刺さった。 理不尽すぎる。 なんでこんな目に……。 「サイゼで良いんですね」 陽乃さんの向かいに座ってバッグを置くと、率直な意見を述べた。 実際この人と相対するとなると、それなりに洒落乙なカフェか高級レストランでランチをしなければならないのだろうかという強迫観念に駆られる。 それに対して陽乃さんは手を組んで、首を傾げて微笑む。 「言ったでしょ? 行き慣れた場所で遊ぶって」 「……っ」 何の事はないセリフを言っただけの陽乃さんの挙動が、とんでもなく素敵で思わず息を呑んだ。 この人はどこに居ても輝く。 その場所がどんな場所であろうとも、相手から映る背景を自分が映える為の額縁に変えてしまう。 そんな魔力のある仕草だった。 「ん? どうしたの、赤くなって?」 「……いえ。 注文していいですかね?」 「ああ、どうぞどうぞ。 わたしも頼もうっとー」 ああもう、絶対大変だよ、ここから。 鼻唄混じりでメニューを眺める陽乃さんを、メニュー越しにちらりと眺める。 ……やたらと鼻唄が上手い。 超人かよこの人。 「お待たせしましたー」 ウェイトレスが注文した品々を順に置いて行く。 20後半くらいの……なんていうか、良い感じに綺麗な人だ。 「あ、それはこっちですね。 で、それは彼に……あ」 陽乃さんがてきぱきと指示して俺の方に流される皿を受け取っていると、不意に陽乃さんと手が触れた。 「…………」 固まった。 なんでこの人、涼しい顔して手が触れた状態から更にしっかりと指をにぎにぎしてらっしゃるの? しかも超笑顔で! 恥ずかしいし指がすべすべしてるしくすぐったいし心地良いし恥ずかしい! こんなのウェイトレスさんが反応に困るだろ、早く解かないと……と思って、ちらりと目線をウェイトレスさんに目をやると。

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