入間 銃 兎 夢 小説。 #ヒプマイ #入間銃兎 ヒプマイ夢まとめ

【ヒプノシスマイク】ナゴヤの四十物十四は誰の血縁?血筋を考察

入間 銃 兎 夢 小説

アテンション 完全なる自己満 目次🐰 1. 告白した時 2. 女じゃなくていいのか? 女体化した銃兎さんは、巨乳のつもりで書いてる。 なんでだろうな。 って、思いながら笑いかけた 「あんたが好きだ。 俺と付き合ってくれ」 二銃 「入間さん、あんたのおかげで赤点回避!」 「おや、凄いじゃないですか」 くすりと、毒気のない笑顔で笑う入間さん いけ好かねえ野郎だと思ってたのにこんなやつ好きになるなんて思わなかった 「好きだよ、銃兎さん。 俺と付き合ってくんないかな」 三銃 「ありがとうございます」 「いえ。 いいんです」 イケブクロに用事があったらしい入間さんは家の近くまで送ってくれた。 大人には甘えるものです。 なんて、頭を撫でて笑う彼に、胸がときめいた 「…僕はまだ中学生で、あなたに迷惑かもしれません。 でも、この気持ちは本当ですから。 …好きです。 銃兎さん。 」 左銃 「銃兎」 「なんだよ。 」 名前を呼ぶとこちらを見る銃兎 いつの間に好きになっちまったんだろうな 腕を掴んでキスした 「…な、てめ!何しやがる…!! 」 「好きだから。 キスしたんだろーが」 珍しく赤面するこいつが、可愛いなと思っちまった俺はもう一度キスをした 理銃 「銃兎、今日はカレーだ」 「ありがとうございます、理鶯」 小官の作る料理を食べてくれる銃兎 美味しそうに食べてくれる銃兎に、この先も、食べて欲しいと思いを告げることにした 「銃兎、好きだ。 これからも、小官の隣にいて欲しい。 恋人として…」 乱銃 「うん、可愛いね!」 「…男に可愛いって言うのもどうかと思いますが…」 「銃兎、こういう服着なそうだから来て欲しくてさ。 顔が綺麗だから、飾りがいがあって楽しい!」 「…ならいいです。 というか、こんなに服作ったのですか?」 「僕、銃兎さんが好きだから着て欲しくて!これからも僕の作った服着てくれる?」 幻銃 「まさか、小生の本を読んでくださってるとは思わなくて…」 「驚きました?私、本は色々読むんです」 なんて、クスクス笑う彼。 聞けば昔の文豪たちの本も嗜むという 「ねぇ、銃兎さん。 月が綺麗ですね」 「…あなたのお得意の嘘ですよ、は、言わないのですか?」 「嘘ではないです。 そうですね、私死んでもいいわ。 とも、言いますか?」 帝銃 「銃兎さん、好きだぜ!!」 「ハイハイ、私も好きですよ」 挨拶のような好きとでも思われてるのだろうか 「なぁ、銃兎さん。 俺どうでもいい人に好きとか言わねえよ。 あんただから。 」 「…それはどういう意味ですか?」 「あんたとキスしてえってことだよ」 寂銃 「銃兎くん、無理は行けないよ」 「…すいません」 「君はしっかりしてるようでしてない。 見ていて不安になるね」 「はぁ…?」 「おや、患者としてと思ってるかい?まさか。 一人の人間として、君に興味があるんだ いつもすました顔をしてる君が、恋人にはどんな顔をするんだろうとか…ね?」 ひふ銃 「銃兎さん、ちゃんと食べてるー?」 「人並みには食べてますよ」 「最近痩せた気がするんだけどなぁ…」 そう言い見つめるとバツの悪そうな顔をする銃兎さん。 気が緩むと、そういう顔をするんだ。 可愛いなと思う 「ねぇ、銃兎さん。 俺っち料理上手いんだ!銃兎さんが痩せないように俺っち頑張る!」 「それはどういう意味で…?」 「恋人になりたいってこと!あんたにおれっちの作った料理食べて欲しいんだ」 独銃 「最近、お仕事の方は大丈夫ですか?」 「ええ、まぁ、ハゲ課長も、俺もいつも通りですかね」 「あなたも大変ですね」 職質されていた頃から気になっていた 綺麗な顔をしてる人だな、とか、そんなことばかり考えていた 考えていただけなのに、こんなふうに歩けるなんて思わなかった 「ねぇ、銃兎さん。 俺銃兎さんが好きです。 誰にも渡したくない…です」 あなたはなんて言うんだろう。 銃兎さん」 「ありがとう。 …これは、靴ですか?」 「恋人に、靴送っちゃいけないってわかってるけど、銃兎さん足綺麗だし似合うと思う。 」 「ふふ、ありがとうございます。 右手の薬指にでも付けとけ。 予約しといてやる」 「左手じゃないのか?」 「バーーカ。 乱数、ありがとうございます」 「これから寒いし、風邪ひかないように着けて。 傍において大切にしてください 帝銃 「おめでとう!ネックレスだ」 「可愛いですね、ありがとうございます」 「いつもつけてくれると嬉しい」 「ええ、つけさせていただきますね」 「なんか、いいな。 仕事中つけて貰えると思ってね。 」 「…下着…、ですか?」 「あの、俺色々考えて、スーツじゃ俺の安月給じゃいいやつ買えないし、仕事柄、アクセサリーもいつもつけれないと思って…それで、下着ならつけてて貰えるかなって…すいません」 すいませんって、謝る恋人に笑いかける 「そういう意味なら嬉しいですよ。 沢山悩んで選んで頂いて嬉しいです」 「…はーー、尊い…。 どうかしたか?」 「いえ…」 手を繋ぎたいなんて、小娘みたいなことを年下の恋人に言えないでいると、察したのか手を取られた 「オレ、繋ぎたいから繋ごうぜ!」 「ふふ、はい」 今日だけは甘えることにした 二銃 前を、高校生くらいのカップルがイチャイチャしながら歩いてたのを見て羨ましいと、思っていたら 「ねぇ、銃兎さん。 」 「…はい?」 「家に帰ったらさ、一緒にDVDでもみて、イチャイチャしような」 「ふふ、はい」 照れくさそうに笑う恋人に、私も微笑みかけた 左銃 「左馬刻ィ!」 「うわ、なんだよ。 銃兎」 甘えたいとかいうと、ニヤニヤされそうで何も言わずに隣に座る 「なぁ、銃兎。 そういう時は素直に言った方がいいぜ」 抱き寄せられてニヤニヤする左馬刻 なんだかお見通しみたいでイラッとしたけど、素直に甘えることにした 理銃 「理鶯」 「銃兎か」 横になる理鶯の近くに寝っ転がる 「…ふむ。 銃兎」 「なんですか?」 「こちらに来るといい」 そう言い、腕を広げ柔らかく笑う理鶯の胸に顔を埋めた 幻銃 お家デートと言っても、幻太郎は執筆に夢中で、なんだか寂しい 幻太郎の本を読んでいたらふと呼ばれた 「…銃兎、こちらへ」 「なんですか」 「あぁ、怒らないでください。 ふてくされた顔も可愛らしいです」 嘘ですけど、と、言うと思ったのに 「嘘じゃないですよ。 意地悪を言ってすいません。 今日の分は終わり。 これからはあなたのために使いますよ」 なんて、手にキスをされた 寂銃 「おかえりなさい。 寂雷さん」 コーヒーを渡してとなりに座る 「ただいま。 いつもありがとう」 まじまじと、私の顔を見たあと、頬を撫でられた 「甘えたい時は、我慢なんてせず素直に言うといいよ。 …ね?」 柔らかく微笑んで、全部わかってるな?て顔をする恋人に、素直に白状することにした ひふ銃 「銃兎、ただいまー!」 「おかえりなさい」 仕事で疲れてる一二三に甘えたいなんて言えない、そう思ってたのに 「ねー、おれっちの腕に来て?」 手を広げる一二三に近づくと手を引かれぎゅうと抱きしめられた 「んー、充電ー!ずっと会いたかったー!」 抱きしめられて頭を撫でられる 甘えられてるようで、甘やかされてるのが心地よくて、体を預けることにした 独銃 「…なんか、した?」 「え?」 「なんか言いたげだから…もしかして浮気?別れ話…?ぁぁ、銃兎に捨てられたら…っ、俺のせい…」 なんて、ネガティブモードに入る独歩に甘えたいだけ、と素直に言うと、なんだそんなことか。 って微笑まれた 「甘えたい時は我慢しないで欲しい。 遠慮なんてすんな。 次これ!これ着て!」 「これ、ですか?」 「銃兎さん、なんでも似合って困るねー!」 「和服はいかがですか?」 「なー、そんなことより、賭博!銃兎さん賭博した時ないだろ!?」 「さすがに警察なので賭博は…」 「連れてきませんからね。 美味しいご飯には美味しいワインがいいかな?」 「…っ、寂雷さん、今日はお酒はやめましょう、ね?」 と、背伸びして、唇をなぞり首をかしげてみると眼を見開かれた 「君がそういうなら…」 その手を取られキスされると、 「あーー、ずるい!おれっちもキスする!」 ほっぺにキスされた 「…こんなに美味しいご飯作れて、可愛くて美人で聖母…、銃兎すげぇ…」 自由な独歩。 何をしても褒められます ヨコハマティビィジョン 「銃兎、おはよう。 ご飯できてるぞ」 「ありがとうございます。 理鶯」 「銃兎寝癖ついてる」 「ん?直せ」 「あーー?たく、しゃーねーなぁ。 甘えん坊の兎だな」 「銃兎、ほら」 「んー」 「たく、わがままな姫さんだな!」 「いいだろ。 こういう銃兎は可愛い。 小官も尽くすのは好きだ」 全部やってもらうし、あまやかされる 左馬刻の顔が一番好きな銃兎 [newpage] [chapter:女じゃなくていいのか。 ] 男のままの銃兎さんです 一銃 「…なぁ、一郎。 女じゃなくていいのか?」 子供好きだろうって、笑う銃兎さん。 そんな彼を抱きしめた 「馬鹿だな。 銃兎さんは。 銃兎さんがいいんだよ」 二銃 「…二郎は、子供好きだろう?」 公園で、可愛いと言ったことを気にしてるのだろうか 「好きだよ。 」 「じゃあ…」 「俺は、銃兎さんじゃなきゃ嫌だ。 俺が好きなのはあなただけだよ」 不安にさせてごめん。 そんな気持ちを込めてキスをした 三銃 「…三郎、女じゃなくていいのか?」 同級生に可愛い女の子の1人くらいいるだろう。 なんて言う この人には、僕の気持ちは伝わっていなかったのだろうか 「…嫌なら男である貴方と、付き合ったりしないです」 「この気持ちを、馬鹿にしないで」 あなたにそんなこと言わせないように頑張るから 左銃 「左馬刻、俺でいいのか」 組を発展させるには、女と結婚した方がいいだろ。 というこいつに思いっきりキスした 「は?馬鹿か。 何年付き合ってんだよ」 「お前、俺がてめえのことを思って…!! 」 「女が良かったらてめえと付き合わねーよ」 理銃 「どうした?元気がないな」 「…理鶯、モテるでしょう?隣でいるのが私でいいのかなと思いまして…」 「小官は、銃兎が好きだ」 「…私でいいのですか?」 「不安にさせて済まないな。 銃兎…お前がいいんだ」 乱銃 乱数は、オネーサンの方がいいんだろうか 「乱数、俺は、オネーサンじゃないけどいいのか?」 「…不安にさせてごめんね?銃兎さん」 「別に不安になってない…」 「オネーサンばっかで、不安にさせてごめん。 僕の一番は銃兎だよ」 幻銃 「…幻太郎は、モテるだろう?」 「そうですねぇ、小生人並みにはモテると思いますよ」 「女を好きになったりしないのか…?」 そう言うと目を見開いた後、笑う幻太郎 「そうですねぇ。 …なんて、嘘ですよ。 小生はあなたがいいんです」 帝銃 「女の方がいいんじゃないか?」 「…それ本気で言ってる?」 「…まぁな」 ギャンブラーだが、顔はいいんだ。 言い寄ってくる女もいただろう。 と言うと不満げな顔をされた 「不安にさせてわりぃ。 銃兎がいいんだよ」 寂銃 「寂雷先生は俺なんかよりきっといい人が…」 いるはずだ。 と言おうとしたのに唇に人差し指を重ねられた 「不安にさせてしまったかな?」 「…いえ、そんなこと…」 「私はね、銃兎くん。 君だからいいんだよ」 ひふ銃 「一二三は俺でいいのか?お客さんにも綺麗な人はいるだろうし、男の俺なんか…」 そういうと、後ろからぎゅうと抱きしめられた 「…おれ、女性恐怖症なんだよ?それにね、男と付き合うなんて、軽い気持ちでしたりしない。 銃兎だから付き合いたいんだよ」 「…っ、本当に?」 「本当だよ!ごめんね。 お客さんで不安にさせたかな?俺っちが好きなのは銃兎だけだよ!」 独銃 「会社に綺麗な人いたりするでしょう?そういう方達じゃなくていいんですか?」 「…嫌いになりました?」 「そういうんじゃないです。 ただ、私と一緒にいても幸せにはなれない」 正面から抱きしめられて、頭を撫でられる 「銃兎が不安になるのは俺のせい。 ごめん。 不安にさせてごめん。 好きだよ。 銃兎じゃなきゃ嫌だ」.

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#ヒプマイ #入間銃兎 ヒプマイ夢まとめ

入間 銃 兎 夢 小説

『おかあさ、、ここに、いるよ、僕、おか、さ、、』 フラッシュバック。 瞳孔の開いた目、頬に添えられた細く冷たい指、寒い朝方。 今でも夢に見る。 俺の頬を包むのは、もう自分の心を失った、実の母親だ。 俺の、たった一人の、愛していたはずだった、母親だ。 「っは、っ、ぁ、はっ、、、」 知らぬ間に首に手を当てながら目覚める。 嫌な汗が背中を伝って、ガンガンと頭が痛む。 ベッドの横のテーブルに置いたペットボトルを乱暴に掴み、水を飲み干した。 何度でも蘇る、忌まわしい記憶に蝕まれた体を引きずって仕事に行くことにも、もう慣れた。 大きなため息を一つついて、煙草に火をつけた。 昔は好きじゃなかったこの煙も苦く渋い味も、今では生きていくのに不可欠なくらいには存在感を増している。 ピピピピ、ピピピピ、 朝からうるせぇな、とスマホのディスプレイを覗くと、「左馬刻」の文字。 あいつのことだから、また何かやらかしたんだろうか。 めんどくせぇ。 「はい、入間です。 朝からどうしました?」 「おう銃兎〜、今日の夜お前んち行くからよろしく」 「、、、は?」 想像していたより怒っている様子もなく安心したのもつかの間だ。 今日はとても晩酌を人とできるような気分じゃない。 朝からこんな目覚め方、それに山積みの書類を片付けなきゃいけない。 明日も休みじゃねぇ、むしろいつもより一時間早い出勤の予定だ。 最悪のタイミングすぎる。 「悪いがそう言う気分じゃねぇんだ。 今夜はマジで頼むわ。 また今度にしてくれ。 」 知らぬ間に口調が雑になり、ため息が漏れた。 「あぁ?てめぇ俺様に向かってそんな口聞くとはなあ。 まあいいわ、とりあえず行くから。 あ、合鍵持ってっから勝手に入っとくわ。 」 ブツリと一方的に電話が切れた。 何なんだあいつは。 なんせタイミングが悪い。 一ヶ月ほどぶりの悪夢は、かなりキた。 ずん、と重くなった体に鞭打つように立ち上がり、洗面所へよろよろと歩き出した。 ああ、最悪だ、、、頭が痛い。 書類の処理が進まない。 死んだ魚のような目でパソコンを睨みつける俺のテーブルに、後輩が気を使うようにコーヒーを置いた。 「あ、あぁ、ありがとうございます、」 「入間さん、今日目の下クマ酷いですよ。 朝からずっと顔しかめてますし、、、書類、俺がやっていい所だったら片付けておきますよ。 今日は早く帰ったらどうですか。 」 「あぁ、、、」 パソコンを見やる。 一応、やらなければいけないことは終わっているのだが。 いやいやいい年して体調不良で後輩に仕事任せてお先なんて笑えねぇ、と笑おうとした時、こめかみに鈍い痛みが走った。 「いっ、、、」 「ほら入間さん、今日はもういいですよ。 あとは整えるだけですよね?俺、今日仕事少ないからやっておきます。 」 本当にすみません、お言葉に甘えさせてもらうとしますかね、そう笑うと後輩は書類の山を持って行った。 たまには頼りになるなあ、なんてと小さく笑みがこぼれたが、本当に頭痛で頭がどうにかなりそうだ。 時計を確認する。 十九時。 定時に上がりたい必死のリーマンかよ、と自嘲して、頭痛をできるだけ無視できるようにのろのろとジャケットを着て自室を後にした。 「いってぇ、、、」 やっとの思いで車を走らせ、玄関に転がり込んだ。 血が体を巡っているのがわかる。 ドク、ドクと脈打つたびに頭がズキズキと痛む。 マジで勘弁してくれ。 とりあえずソファで横になろうかなんてらしくないことを考えていた、その時。 「おうおう、どしたんだよウサポリ公はよぉ。 ヘロヘロじゃねぇか」 、、、しまった、忘れていた。 今すぐにでも、無理矢理にでも眠りについて手放したい意識を繋ぎとめたその声の主は、左馬刻だ。 そういや、夜来るとか言ってたな、、、本当に今日は無理だ。 勝手に人の家に上がる左馬刻に軽く非難の言葉一つすら浴びせられないほど、俺は頭が痛かった。 「さまとき、、、すまないが、今日は本当に体調が悪い。 帰ってくれ、マジで、」 おぼつかない足を踏み出した途端、ガクッと力が抜ける。 「っおい、」 咄嗟に前にいた左馬刻の腕にしがみついて、なんとか転ぶことはなかった。 気持ち悪い。 全部がごちゃまぜになって、もう自分がどうしたいのかもわからなかった。 息をするだけで、痛い。 「、、、マジでお前大丈夫かよ。 頭いてぇんだろ?ちょっと一瞬だけ痛いけど我慢しろよ、」 よっこいしょ、と左馬刻の声を聞いた瞬間、体がふわりと宙に浮く。 ん?何だ?とうとう意識飛ばしたか? ぽす、とゆっくり、優しく、なるべく俺に衝撃を与えないように、左馬刻がシーツの上に俺の体を乗せる。 てめぇ、何お姫様抱っこなんかしてやがんだ。 遅いが。 だが、足を踏み出すたびにこの世の終わりのような頭痛が襲うより、よかっただろう。 「っ、すまない、助かった、」 「おまえ、もう寝たいだろ。 水飲むか?頭いてぇとなかなか寝れねぇか、、、とりあえず服とかあとでやっから。 ジャケットとネクタイ外すぞ」 まるで病人を看病するように、、、いや、実際にそんなような図なのだが、左馬刻の指がゆっくりとジャケットを取り去り、ピンホールシャツのピンと鎖ををめんどくさそうに抜いた。 「ぁ、、、ごめん、ちょまじで、いてぇわ、」 はい水、と渡されたペットボトルの水を少しずつ飲んで、一息つく。 「俺様がここにいてよかったな、感謝しろよ。 明日いっぱいお礼聞かせてもらうから。 もう今日は寝ろ。 」 やさしく、なるべく振動が伝わらないように、左馬刻が俺の頭を撫でた。 今日は珍しくおとなしいのな、そんな憎まれ口を叩く気力もなく、無理矢理目を閉じて意識を手放すことに集中した。 「、、、っ、」 はっと目が覚める。 スマホを確認する、午前四時。 昨日の悪夢みたいな頭痛は、嘘のように何処かへ消えた。 少し、体に怠さは残るが、書類の処理くらいなら大丈夫だろう。 昨日の夜、どうしたんだっけ、、、と視線を下へ移すと、俺はいつものグレーのスウェットを着ていた。 眼鏡も丁寧にテーブルの上に置いてあり、スーツもネクタイもハンガーにかかっていた。 そういえば、左馬刻だ。 左馬刻が、ここまで運んでくれで、それで、 ぐるぐると昨日の光景を巻き戻す。 左馬刻は、もう帰ったのだろうか。 よろよろと立ち上がりリビングに入ると、ソファで体を縮めて眠る左馬刻がいた。 身長もデカいいい年した大人が寝るにはやはり狭すぎる。 悪いことをさせたし、寝させてやろうと踵を返した時、左馬刻が間抜けな声をあげた。 「ぉい、じゅーと、」 こっちこい、と手招きされて近づけば、額に手を当てられる。 「熱はねぇな。 もう頭、痛くねぇ?」 、、、左馬刻、だよな。 ギャンギャン吠えて暴言を撒き散らすいつもの左馬刻との差が激しすぎて、答えるのに時間がかかった。 「あ、あぁ助かりましたよ。 もうこの通りです。 着替えまでさせていただいて、すみませんでした。 ベッドで寝てくださってよかったのに、」 「いや、ベッドで寝たりしたら俺が寝返り打っただけでお前きっと頭痛くて目覚ますだろ。 わざわざ病人の隣で寝る趣味はねぇよ。 」 こいつ、意外と人情ってもんはあるんだよなぁ、と笑みがこぼれた。 「本当にありがとうございました。 私はいつもより早い出勤ですから、左馬刻は好きに過ごしていただいて結構ですよ。 一つ借りができてしまいましたね。 」 軽くシャワーを浴びようとした時、左馬刻が引き止めるように声を出した。 「あぁ、昨日の夜お前の後輩から心配のメッセージ来てたからよ。 体調死んでるから明日は行けません、て返事したから。 休めや。 」 、、、は?いや、嬉しいのだが。 そりゃ重い体を引きずって書類の処理をしに行くのがなくなるなんて嬉しいけども。 「てめぇ、最近ずっとひでぇ顔してんぞ。 いつから休み無しで働いてんだよ。 ちっとは体のこと考えろダボが。 」 思えば、ここ一ヶ月くらい、外せない事件とその処理に追われ、署に通い詰め、張り込み捜査もし、かなり無理をしていたのは事実だ。 というのも、俺がこの世で一番に憎んでいるといってもいい、ヤクが絡んだ件だったからだ。 体を壊しては元も子もないとわかっていても、どうしてもヤクの話になると箍が外れてしまうのだ。 「すまない、ありがとな、ちょっと休むわ。 」 いつもより少し甘えてしまうのは、左馬刻がいるからだろうか。 少し、肩の荷が軽くなった気がした。 「で?お前のこと看病してやった俺様へのお礼をいただこうかねえ」 いつもの悪戯っぽい左馬刻の声は、心なしか楽しそうだ。 「あぁ、、、なんでも言えよ。 欲しいものがあれば買ってくるしして欲しいことがあったらしてやるよ。 今日だけな。 」 「あ?珍しく素直じゃねーか、兎さんよぉ。 」 まあここまで助けてもらったら流石にな、と笑うと左馬刻は俺の肩を掴んで無理矢理ソファに座らせた。 「なぁ、今日一日お前のこと好きにしていいのかよ。 」 耳元で囁かれ、低い声が耳元で揺れる。 思わず肩がびくついた。 なんでそんな甘い声出すんだよ。 俺は野郎だぞ。 「あ、あぁ、、、なんかして欲しいことあんのか?」 ん〜、と斜め上を見つめながら左馬刻が考える。 思わず、可愛いと思ってしまった。 顔が綺麗で整っているのは言うまでもないのだが、今日はいつもと違ってしゅんとした子犬みたいだ。 おとなしい左馬刻はめったに見ることがないから逆にそわそわしてしまう。 「んじゃ、もっかいベッドで寝よーぜ。 」 意地悪そうに笑うと、ソファは流石に背中いてぇわ、と欠伸をした。 よくわからん。 女でもないのに隣で寝て楽しいのだろうか。 まあ、そんな程度のことならお安い御用だ。 もっと、パシリにされたり、あれ買ってこいこれ買ってこい、あれをしろこれをしろと言われるとばかり思っていたため、少し驚いた。 「いい年した男と隣で寝たいなんてお前変わってんな、、、までも、ソファで寝させて悪かったよ。 その前にシャワー浴びてくっから。 左馬刻も着替えたいなら俺の部屋着貸してやろうか?」 おう、勝手に借りるわ、と手を挙げると左馬刻はクローゼットを開けてスウェットを取り出した。 「お前どこまで几帳面なんだよ、、、お気に入りのブランドのスウェットしか部屋着にできねぇってか?」 俺が今着ているのと全く同じスウェットを取り出して、左馬刻は呆れたように笑った。 実際、気に入ったブランドのものをリピートして使用するような細々した性格なのは否定できない。 シャワーを浴びて少しさっぱりした。 髪をガシガシと拭きながら自室を覗くと、左馬刻はベッドに手足を広げて大の字で寝っ転がっていた。 子どもかよ。 俺はふっと笑うと、左馬刻の隣に体を滑り込ませた。 「ねみぃ、、、」 小さな欠伸を一つして、左馬刻はすーすーと寝息を立て始めた。 もしかしたら昨日夜遅くまで起きてたのかもな。 着替えも全部済ませてあったし、靴下やインナーも、洗濯機に放り込まれていた。 有難いかぎりだ。 可愛いやつだなまったく、と無防備に寝顔を晒す左馬刻を眺めながら自分もすっと眠りに落ちた。 『や、おかあさ、っ、、、おか、さ、』 『ごめんね、、、ごめんね銃兎、、、ごめんね、ごめん、愛してるの、銃兎、、、』 おかあさん。 泣かないで。 僕はここにいるよ。 おかあさん、どうして僕の目を見ないの。 どうしておかあさんの目は焦点が合わないの。 おかあさん、おかあさん、、、 「っ、は、ぁ、、、はぁ、っ、、、」 心臓が飛び出そうなほど、嫌な音を立てる。 また、じとじととした汗が額に浮かぶ。 くそ、どうして二日連続でこんな夢を見る。 キツい。 必死に呼吸を整えようとするが、うまく息を吸うことができない。 まるで呼吸器官が自分のものではなくなったかのように、息を吸うタイミングと吐くタイミングがわからなくなり、手が震える。 ガタガタと歯が噛み合わなくなって、空気が気管を浅く行き来するのを、自分の体ではないのかと思うくらい、冷静に感じていた。 「っぁ、、、はぁ、っ、、、はぁ、ぁ、」 「じゅーと」 小刻みに震える冷たい手を取られ、後頭部を優しく手のひらで包み込まれる。 「さ、さまとき、、、ぁ、っは、さまとき、」 「おう。 左馬刻様だ。 ゆっくり息吸え、はい、吸ってー、吐いてー、そう、ゆっくり」 優しい手の温もりを感じながら、少しずつ、空気が体の深くまで入ってくる。 左馬刻に合わせて、息を吸って、吐く。 生きてれば自然にできることが、こんなに難しいなんてな。 「さまとき、」 すまない、と謝ろうとした瞬間、その言葉が飲み込まれて消える。 左馬刻に口付けられてその言葉が溶けていったのだとわかるのに、時間がかかった。 「んぁ、さ、さまとき、、、?んぅ、」 角度を変えて、何度も左馬刻が唇を重ねる。 息が一緒になって溶けて、体が少し熱くなった気がした。 「自分で気づかないうちに泣いてるお前なんざ、見たくねんだけどよ。 」 左馬刻が俺の頬をそっと指でなぞった。 泣いているのだと、そのとき初めて気づいた。 「ぁ、、、?悪い、なんで泣いてんだろうな、はは、」 「笑うなよ」 左馬刻の紅い瞳が、俺を射抜いた。 怒っているのか拗ねているのかわからない、その瞳は俺の瞳を捉えて離さない。 「無理に笑うな。 無理に話せとは言わねぇ、俺はお前がその中に隠して抑えつけてるわけわかんねぇもんを一緒に背負えるとは思わねぇ、でもよ、銃兎、」 惚れた野郎が必死に苦しんでるのを隣でただ見てるだけってのは、気にくわねぇ。 耳元で左馬刻が低い声で唸った。 左馬刻、お前は俺が今までで一番、惚れ込んでいる男だ。 お前は俺が今までで一番、信頼している男だ。 どこまでだってついていくと決めた。 そして、お前は俺にとって、最後の砦なのかもしれない。 「さまとき、、、」 「お前のその薄っぺらい腹のなかに渦巻いてるもん、俺にも食わせてくれよ。 」 俺は母親が死んでから、初めて人前で堂々と泣いた。 この男になら、話したいと思った。 弱みを握られてもいいと思った。 一緒に背負って欲しいなんてことは思わない、でも、少しだけ迷惑をかけたくなった。 左馬刻は俺が泣きながら、嗚咽交じりに訳もわからず吐き出したその言葉を、じっと耳を傾けて聞いた。 ずっと、俺の頭を撫でていた。 それがまた、涙腺をそっとなぞるかのように涙を押し出した。 中学二年生の夏、父親が死んだ。 事故死だった。 ホームに猛スピードで入り込んできた急行列車に、何の抵抗をすることもなく、散っていった。 目撃者によると、ホームに転落する寸前にふらついていたそうだ。 父親はしばしば目眩を起こすことがあったから、それも納得できた。 ただ、重たい鉄の塊にぶち当たって砕けた後では、破片になってしまったその後では、もうなにもわからなかった。 真実など知ることもできぬまま、俺と母親はこの世界に残された。 突然父親に先立たれてしまったその後は、母親がまるで変わってしまった。 葬式が終わってしばらくの間、母親と話さなかった。 いや、話かけることができなかった。 遠くを見つめ、ぼんやりと空中を眺めながら、何か話しているようだった。 俺はその現実を、受け入れるしかなかった。 ある日突然、母親がいつものようによく喋るようになった。 それが、俺を気遣って、俺のために必死で声を絞り出しているようで、聞くのが痛かった。 異変に気付き始めたのは、母親が元に戻ってから一ヶ月が経ったあたりだった。 もっと早く気付けていたら、と今でも罪悪感に苛まれる。 母親は、薬に手を出していた。 きっともう、手遅れだったのだろう。 毎日眠れずに、ただ自分を置いていった父親の後の処理に追われ、一人の子どもを抱え、誰に助けを求めたら良いのかもわからず、母親は日に日に母親でいられなくなった。 働いて、家事をして、子どもを育てて、生きて、そのためには、眠らなければ、眠らなければ、その思いに駆り立てられて、睡眠剤を飲んだ。 量が増えていった。 信じられない量の睡眠剤を見つけたのは、母親が死んだ後だった。 大人になってからわかったが、母親が服用していたのはバルビツール酸系のものだったらしい。 そうでなきゃ、簡単に死ぬはずもない。 母親は、度々、俺の存在を確認するようになった。 突然、銃兎、銃兎と名前を呼びながら、俺を探して、見つけると泣きながら謝り続けた。 ごめんね、銃兎、愛しているの、と。 その目はもはや俺の目を捉えることはなく、焦点の合わない、瞳孔の開いた瞳を、俺は直視することができなかった。 そのうち、母親も死んだ。 中学三年生の冬だった。 俺は幸い親戚の元に引き取られたが、迷惑はかけたくない、と、両親の残した金とバイトで必死に貯めたなけなしの金、ありがたく親戚からいただいた金で一人暮らしをすると決めた。 俺は、死ぬほど勉強をし、死ぬほどバイトをし、必死に生きた。 必ず、母親を奪った忌まわしい薬を、この世から消してやろうと思った。 「っ、、、すまない、さまとき、、、っぁ、おれ、」 「辛かったな。 苦しかったな。 でもこれでもう、お前だけの痛みじゃねぇ。 俺も知ってるんだからよ。 」 嗚咽を止められない俺に、左馬刻は何度もキスをして、頭を撫でて、抱きしめた。 その度に、今まで解かれることのなかった心の刺々しい鎖が、少しずつ、解けていくようだった。 今だけでもいい、少しだけお前に溺れさせてくれ。 左馬刻にほんの少しでも伝わればいいと思いながら、俺は左馬刻にキスをした。 かつて頬に添えられた母親の指の冷たい感触を上塗りするように、左馬刻の温かい手が俺の頬に重なった。

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肖像【入間銃兎】

入間 銃 兎 夢 小説

かっこいい銃兎はいません。 ご了承ください。 潮騒の遠い音がよく聴こえる昼下がりだった。 ヨコハマの湾岸沿いを走る車の運転席に入間銃兎はいた。 車内に響く洋楽のナンバー、右手はハンドルに緩やかに添えられ、口元に咥えたタバコの煙は吸い込まれるようにして、開け放たれたドアガラスの向こうに消えていく。 ふと横を見れば、春空の爽やかな青の下にある水平線が太陽の光を反射してキラキラと輝いていた。 完全無欠な午後だった。 この日がな一日のドライブを銃兎は愛している。 そんな平穏を切り裂くように、けたたましい着信音を立てながら一本の電話が入った。 愛曲が停まり、車のディスプレイに浮かぶのは、もう見慣れた携帯番号。 銃兎の頭の中にガンガンと不協和音が響きだす。 この番号から電話がかかる時はろくな事がない。 ましてや、こんな昼時にかけてくる事なんてほとんどないため、嫌な予感しかしない。 どうせクソみてェなことは確かだろうが。 溜息もつけないままに銃兎は電話を取った。 愛すべき完全無欠な午後は、呆気なく終わりを迎えた。 「なんですか、左馬刻。 緊急だ。 すぐ事務所来いや』 「お前……また何したってんだよ」 『説明してる時間はねェ。 嵐のような出来事だった。 無視してやりたい気持ちも沸くが、ビジネスパートナーでもありチームメイトだ。 胸騒ぎを抱えながら銃兎はハンドルを180度切った。 元来た道を戻り、高速で雑多な日常へと帰っていく。 道すがらまた電話をかけた。 「理鶯、緊急です。 いますぐ左馬刻の事務所に来てください」 『了解した』 淡々とした理鶯の応答を切ると、そこは無音だった。 洋楽のナンバーも、もう耳に入らない。 そう思った。 **** 「おい、それは何だ」 それから間もなくした時間、銃兎の姿は左馬刻の事務所にあった。 大層機嫌が悪いらしい。 コメカミには青筋が浮かび、瞳孔はキレている。 「あ、見て分かんねェか? 迷子だよ」 「テメェ、しょっぴかれてェのか」 「おいおいそんなムキになんなって、な? ラブアンドピースで行こうぜ銃兎ォ」 ケラケラと笑う左馬刻のその姿に殺意すら沸いてくる。 『どうか無事でいてくれ……』なんてメロドラマみたいな台詞を思った少し前の自分に心底吐き気する。 こっちの気持ちも知らねぇで、コケにしやがって! 「テメェはいっつもいっつも! ぶさけてんじゃねェぞ、この野郎ォ!」 「あァ、なんだァ?逆ギレかよ銃兎ォ! あんま大声出すなって……こいつがビビんだろ?」 左馬刻が目を流したその先、そこには一匹の白色のウサギがいた。 二人のやり取りに身を縮め、怯えているように見て取れる。 そう、左馬刻が銃兎を呼び出したのは他でもない、このウサギのことだった。 どこからか脱走したのか、この事務所へと迷い込んできた。 チンピラとゴロツキの扱いには慣れているヤクザも、警戒する小動物にはお手上げだったらしい。 ……なぜか(天の都合上)。 「迷子はお巡りサンに連れてくのが一番だ。 そうだろ?お巡りサン」 「バカ野郎、担当外だ! 迷子センターにでも連れていけ!」 「ヤクザが、ンな場所に出入りできっかよバァカ。 持て余してんだよ、なんでもいいから引き取ってくれや」 「なんで俺がッ」 「いいと思うぜェ。 ウサギがウサギ飼うなんて傑作じゃねェか!」 「テメェ……今なんつったコノヤロォ!!」 「あァ!? 何だァ銃兎ォ、やるっつーのかァ!?」 怯えるウサギのことなんてすっかりと忘れ、ブチギレる銃兎とそれを揶揄う左馬刻の構図でマイクが握られた。 このままラップバトルが始まれば、ただでさえ耳のいいウサギには精神干渉が強すぎる。 死亡は必至だ。 毒島さんがお見えです」の声と共に、長身の軍人の姿が見えた。 「り、理鶯……」 呼び出した張本人のくせにして、銃兎はこの流れはまずいと思った。 ここにはいるのだ、……食材が。 「何事かと思ってきたが、また二人は腹が減っているのか。 ……む、ウサギか。 小骨は多いが茹でて食うと美味いらしい。 少し待っていろ」 「まあカラスやネズミよりは美味そうだな」 ウサギ、九死に一生を得ず、また絶体絶命のピンチである。 左馬刻の事務所で怯える一匹のウサギのもとへ理鶯は寄って行った。 迷彩服の腰元には、いつも携帯しているサバイバルナイフの存在。 それで調理されていくウサギの姿が銃兎の目の中に浮かんだ。 ウサギに愛着があるわけではない。 しかし、兎の名を冠する身として、食材にされるのをまざまざと見るのは。 御免こうむりたい。 「や、やめてください理鶯……」 「む?銃兎、ウサギは嫌いか?」 「い、いえ……。 そのウサギですがね、迷い込んだところを、今しがた左馬刻から貰い受けたところだったんですよ」 「おーおー、そうだったそうだったァ。 忘れてたわ。 悪ぃな理鶯ォ、そいつは勘弁してやってくれや」 白々しく同意する左馬刻はゲラゲラと笑っている。 ……この野郎、覚えてろ。 絶対いつかしょっぴいてやる…。 「そうか。 貴官は慈しみのある人物なのだな。 では、他の食材を探すとしよう。 先程、近くでトカゲを見つけたのだが……」 「い、いえ! 私達は腹が減ってる訳ではなくてですね……」 そんなふうに、いつも通りのMTCのやり取りが始まった。 銃兎が左馬刻の事務所を後にする頃には、ウサギと言う名の大荷物を持って帰ることになっていた。 普段は女を乗せるはずの助手席にウサギが入ったダンボール箱を置く。 彼なのか彼女なのか分からない一匹のウサギ(ネタバラシをするならば彼女)は、所在なさげにダンボール箱の中をウロチョロと忙しなく駆け回り、ダンボールの塀の先から自分の居所を確認しようと必死だった。 思ったよりもふわふわだった(当の白ウサギは突然降りかかった大きな手に死ぬほど怯えていたが)。 **** とは言ったものの、この状況を一体どうしたものか。 銃兎はアパートの自室に置かれたダンボールのなかで動くウサギを見ながら頭を悩ませていた。 勢いで引き取ったものの、動物を飼うなんて、とてもじゃないが考えられない。 仕事で忙しい時には家に帰れないなんてザラだ。 家にいたところで寝に帰っているようなものだ。 とても責任を持って飼える気はしない。 ……とりあえず明日、署に行って貰い手がいるか当たってみよう。 入間銃兎の頼みとあれば、適当な女連中から少なからず声はあがるだろうと予測する。 それだけ甘いマスクと品性を保ってきた自負はある。 銃兎はひとしきり見通しを立てると、スマフォで「ウサギ 飼い方」で検索をかけた。 とりあえず今日はそこらへんの無害そうな草をむしってエサにしてみたが、まぁ数日は共にするだろう居候にどう宿を提供していいのか分からなかったからだ。 ケージで過ごさせるようにとか、チモシーなんて名前の藁をやれとか、一日に一時間は遊ばせろとか、ちゃんとブラシで毛を梳いてやれとか、そんな無理難題が書いてある。 とりあえず、明日の朝にペットショップにでも行って通り一遍のものを買い揃えてやろう。 どうせ貯金の遣い先もないのだし、それくらいの出費は可愛いものだ。 今ある案件も適当に午後から出署すれば充分だし、問題があったところでなかったことにすればいい。 白ウサギは、またもやダンボールの隙間から見える世界を少しでも目視しようと、後脚を立て背を伸ばしている。 手をかけようとした前足は、ダンボールの絶壁に阻まれてスルスルと床へ落ち、また少し丸まっては背を伸ばす、という行為を繰り返していた。 「……外に出たいんですか?」 彼女は銃兎の部屋を見渡そうと必死だ。 「ちょ、ちょっと待っててください」 彼はそう言って洗濯物の中から少しくたびれはじめたタオルを取り出すと、ベッドの上に敷いた。 そして銃兎はウサギの身体をその手に包み、ひょいと抱え上げる。 銃兎の両手から少しだけはみ出る、とても小さな身体には生の柔らかな温もりで満たされていた。 それを銃兎はタオルを敷いた隣に置いた。 「………………」 彼女は見知らぬ世界に降り立つと、その場からあまり動くことなく周囲をキョロキョロと見渡していた。 どうやら相当引っ込み思案で臆病な性格らしい。 数分経つとようやく慣れたのか、二・三歩動きを見せて銃兎と手のほうへと擦り寄ってきた。 鼻先を押し付けてスンスンと匂いを嗅ぎながら安全かどうかの探索を続ける。 銃兎はその鼻先から眉間に向かって、中指で撫でてやった。 彼女がピクリと反応し、上を見上げて銃兎のほうを向く。 なんだか初めて視線が合った気がした。 「気に入りました?」 銃兎は自分でも気づかないうちに、ふっと笑っていた。 掻くようにして、その鼻筋を何度か撫でてやった。 まるでそこを押し付けるかのように、指先に吸い付いてくる白ウサギ。 銃兎が手を止めれば、置いた手とベッドの間の僅かな隙間に頭を突っ込み、《撫でろ》と言わんばかりの所作だった。 「こうですかね?」 銃兎はまたそこを撫でてやる。 うつらうつらとしてくるウサギの瞳。 その手を止めたら、また指を求めて頭を突っ込んでくるため、本当に撫でられたいのだろう。 年甲斐もなくキュンとした。 死語を使いたいくらいには可愛げがあった。 「フッ……」 銃兎の顔がニヤッとする。 数分それを続けてやると満足したのか、ぱっと姿勢を反転させ、銃兎の元を離れていった。 そして、またノロノロ足でベッド探索へと向かう。 色んなところをスンスンと嗅ぎながら、銃兎の匂いを照らし合わせる彼女。 そして、ぽろりと尻から丸いものが零れた。 真珠大の黒黒とした健康的なウンコだ。 「なっ!? 待て、俺のベッドでウンコすんじゃねェ!」 声を上げた銃兎に驚いて、彼女は布団から一目散に降りて、部屋にある戸棚の暗い隙間目指して逃げ込んでいく。 「このウサ公が!」 逃げ惑う小さな彼女を捕まえようと入間銃兎(二十九歳・独身)のアパートでは、「観念しろ!」とか「追い詰めたぞ……」とか「この野郎……ちょこまかちょこまかと!」などという台詞と共に真夜中の逮捕劇が行われたのであった。 そして数十分後、銃兎は部屋に無数に散らばったウサギの糞の処理をするはめになった。 **** 「入間さんどうしたんだ……」 「バッカ、俺に聞くなよ……」 翌日、ヨコハマ署にいる入間銃兎はまるで落ち着かなかった。 いつも冷静沈着を貫いている入間銃兎のソワつく様子に不安そうな同僚の声があがっているが、今の銃兎の耳には入って来ない。 普段は地獄耳なのに余程のことらしい。 午前中は(上司を脅しつつ)時間を作りペットショップに行って一通りのものをウサギのために買い揃えた。 ゲージに入れてやったし、水差しにも並々と水を注いだし、チモシーという名前の藁らしき食べ物も食べきれないほど詰め込んでやった。 夜中に帰っても問題ないだろうが、昨晩のウンコ撒き散らし事件が頭から離れず、気が気ではない。 時計を見るとまだ夕方と少し。 窓の向こうでは西日が少しずつ空を焼き初めてはいるが、まだ青色が色濃く残っている。 今日の定時の捜査報告で進展がなければ、早々に帰ってしまおう。 とてもじゃないが集中して仕事が出来る気がしない。 こんな日が来るなんて、まだ青臭かった頃に女に振り回された時以来だ。 死にたくなるような思い出が頭に甦りながら、銃兎は溜息を吐いた。 早く誰か飼い名乗りをあげてくれないものか。 交通局や人事部の若い女性に声はかけたものの、やはりこればっかりは二つ返事とはいかなかった。 少し経てば誰か見つかるだろうが、それまでは白い彼女の行く宛はなく、銃兎が煩わされる日々は続くのだ。 日が落ち切ってまだ数時間しか経っていない頃、銃兎は家の扉の前にいた。 こんなに早い時間に帰るだなんて働き始めてからというもの、初めてに近いかもしれない。 俺らしくもない……。 そんなことを思いながら、ドアを開いて玄関を潜る。 そんな言葉が脳裏を過ぎったと同時に、恐ろしい悪臭を吸い込んだ。 「なんだこの破壊的な匂いは……!?」 まるでガス漏れでもしたのかというような匂いだ。 急いでウサギの元へ駆けつけると、彼女はケージの中に立って黒々とした瞳で銃兎を見つめ返していた。 酷いアンモニア臭が立ち込めている。 黄色く白濁したオシッコの跡がゲージの隅に引っかかっているのを銃兎は見つけた。 「コノヤロォ……」 生理現象に文句を言っても仕方はないが、この悪臭には鼻が折れそうだ。 帰宅早々、ケージ下のトレイを開きトイレシートを替えてやる銃兎。 ……はやく厄介払いしてしまわねば。 そんな事を思いながらいる銃兎の傍に白ウサギはやってきて、《エサくれ!》と叫ぶようにケージに張り付いていた。 **** それから一週間も経たないうちに銃兎が家に帰る頻度は各段に増えた。 白いウサギがいる生活も大方慣れてきた。 運動不足はストレスの原因にもなるため、大きめの囲いを設えてやったし、だいぶトイレの位置も覚えてきたのか粗相することも減ったため、一部を除いて部屋の中も解放してやった。 どうやら彼女は臆病で引っ込み思案で、甘え上手で物分りのよい賢い女らしい。 ある夜、銃兎がキッチンに立ちリンゴを剥いでいると、彼女はひどく落ち着かない様子を見せた。 甘い匂いに刺激されたのか、囲いの向こうからじっと銃兎を見つめ、今にも涎が出るのではないかというほど口元を動かし鼻をひくつかせている。 「欲しいですか?」 そう声をかけた銃兎に向かって、前足を伸ばして近寄ろうとするが囲いが阻んでスカスカと宙を掻く。 その仕草が可愛らしくて、気づけば 「しょうがないですね、少し待っていてください……」 と呆れ返るような溜息を吐きながら、置いていたスマフォを手に取ると「ウサギリンゴ 食べさせてもいいか」と検索をかける。 また銃兎の可愛らしい履歴が増えるが、もうほとんど日常になっていた。 どうやら生の食材はあげすぎると水分が多すぎて腹を壊す原因になるそうだが、少量ならば問題ないとのこと。 「ほーら、どうぞ」 リンゴの欠片を必死で追う彼女を、少し宙で追わせる意地悪をしながら食べさせてやる。 彼女の食べっぷりときたら、それはもう猛烈な勢いで、銃兎の中にあったらしい母性が擽られた。 一瞬でなくなったリンゴに気付き、《まだ?まだないの? 次は?》と訴えかける眼差しが向けられる。 「今日はそれで終わりです」 そう言いながら銃兎が自分のリンゴを齧った。 彼女がまた手を伸ばす。 「お前のじゃねェよ」 その銃兎の顔はどんな人にも向けられない程穏やかだった。 **** 「よォ、ピョン吉まだいんのか」 深夜、左馬刻が銃兎の部屋を訪ねてきた。 白ウサギと生活を初めて、もう二週間ほどが経っていたが、彼女はまだ銃兎の部屋にいるらしい。 その暮らしぶりが気になったのか、左馬刻が野次馬的に呼び鈴を鳴らしたのだ。 ピョン吉なんてネーミングセンス皆無の発言は無視だ。 「餞別」 左馬刻はサンタクロースが持つような大袋に詰められた大量のニンジンを床に置いた。 ざっと百本はかたい。 嫌がらせか。 「ウサギにそんな生野菜ばっかやるんじゃねえ!」 「ウサギったらニンジンは常識だろ」 「バカヤローが! 腹壊すんだよ!」 「そうなのか。 ……じゃぁ銃兎が齧ってりゃいいだろ。 そんな変わりゃしねェし」 「テメェ……しょっぴくぞコラァ!」 その日から銃兎の家では、野菜スティックしか食べるものがなくなった。 それからまた少しの時間が流れれば、ピョン吉(仮)と過ごす日常も当たり前に近いものになっていった。 家のドアを開けばケージから飛び出し囲いの端で銃兎の帰りを迎える彼女。 《外に出して出して!》と訴える彼女を抱き上げ、銃兎の膝に置いやれば《撫でろ》と手の下に潜り込んでくる。 満更でもない気持ち良さげな表情は、仕事に疲れた銃兎の心を確かに癒していた。 掃除をしようと囲いの中に入れば、足元をウロチョロと動き回って《遊んで、遊んで!》と訴えてくるお転婆な一面も見せてきた。 「はいはい」 銃兎からこぼれる声は優しい。 彼女はどうやら、臆病で引っ込み思案で甘え上手で物分りのよくてお転婆な一面も持つ、誰より銃兎が大好きな可愛らしい女だ。 そのおかげか、銃兎は確実に家に帰る回数が増えたし、無線のペットカメラを導入したおかげでスマフォを構う時間も増えた。 「入間さん、彼女でもできたんですか?」 喫煙所で同僚にそんなことを尋ねられる。 「なんでです?」 「だって最近よく携帯見てられるんで」 「あぁ……家に小さい居候がいるので、ちょっとね」 「居候ですか?」 「ええ、白いウサギですがね」 我ながらだいぶ深入りしている自覚はあった。 初めは一時の宿を提供するだけの係だと思っていたし、必要最低限の生活環境があればいいと思っていたはずだ。 元を正せば、ただ単純に兎のスプラッタが見たくなかっただけの理由で引き受けたに過ぎない関係だった。 けれど、彼女のいる生活が中心になってみれば案外と得るものもあった。 元々彼の面倒見のよい性格も合わさって世話をするのはさして苦ではなかったし、振り回された見返りに極上の癒しも与えられた。 これはさすがに人間の女には到底提供しがたいものだ。 けれど、それも預け先が決まるまでの話。 彼らの関係は期間限定のものだった。 銃兎が同僚と煙草を吹き交わした翌日、とある女性が預け先に名乗りをあげた。 それは地域局に所属する女性で、人当たりのよさそうな柔らかい雰囲気を醸していた。 以前からペットを飼おうと考えていたらしい。 どこからどうみても好印象のその振る舞いに、特に断る理由も沸かなかった。 これでようやく厄介払いが出来る。 きついアンモニア臭に悩まされなくていいし、スーツが獣臭くなることもない。 ウンコを追いかけ回しながら回収しなくたっていい。 夜のデートだって思う存分堪能できるし、なんならホテルに泊まったとしても気兼ねない。 その安堵に銃兎は溜息を落としたはずだった。 「じゃぁ引き取る日ですが……」 そこまで言葉にしたとき、ふと白いウサギが手の平を押しやって額を擦り付けてかる感覚が手に宿った。 《撫でろ》と言う彼女。 指に生暖かい命の温もりを感じる。 あの思ったよりもフワフワな感触を銃兎は思い出した。 目の中に白ウサギが駆け寄る姿が浮かんだ。 その黒黒とした眼差しが銃兎を呼ぶ。 《おかえり!》と。 「入間さん?」 「あの、すみません……やっぱりこの話なかったことにしてもらってもいいですか?」 「いいですよ。 愛着沸いちゃったんですね」 「いやはやすみません……」 「大丈夫ですよ。 気になさらないで。 きっとウサギちゃんも入間さんの家に慣れてらっしゃるでしょうし」 改めて言われると恥ずかしいものがあるが、不思議と晴れやかな気分だった。 まるで、そうだ、休日に湾岸線をドライブしているような、そんな気分。 「写真とかあるんです? 名前は?」 「名前か……考えてなかったですね」 「もう入間さんの家の子なんだから、つけてあげなきゃですよ」 「そうですね……」 ふと浮かんだその名前。 それは銃兎の頭の中に降ってきたひとつのインスピレーションだった。 **** 今日もヨコハマ署は忙しなく人の往来で溢れている。 どうやらずっと追っていたヤマに進展があり、捜査も大詰めだ。 銃兎は夜中のヨコハマの街に浮かぶ星の下で煙草を吹かしながら、とある電話番号をコールした。 通話が始まれば、相手が応答する前に要件をいってしまう手法を使おう。 彼の常套手段をたまには真似したところで罰は当たらないだろう。 「ア?」 不機嫌な声が電話の向こうから聞こえた。 「おい左馬刻、お前うさまるの世話しとけ」 「はァ? なんで俺様が」 「今日帰れそうにねーんだよ、鍵の在りか教えっから世話しろ。 元はと言えばお前が厄介払いしたんだろ」 「溺愛じゃねェか。 ……まぁ面白いからいいけどよ」 左馬刻は案外あっさりと了承した。 電話の向こうで煙草の煙を吐く左馬刻の息遣いが聞こえたあと、クックッと喉を鳴らしながら笑い出す声が聴こえてきた。 「つーかお前、うさまるはねェわ」 「ピョン吉よりゃマシだ」 銃兎もヨコハマの空に煙草の煙を吐き出した。 ネーミングセンスが壊滅的なのはお互い様だ。 **** また数日が経った頃、左馬刻から呼び出しがあった。 今度は事務所ではなく、ヨコハマの大通りに迎えにこいとのお達しだった。 人も車の往来も激しい雑踏の一角に車を横付けしながら、銃兎は左馬刻を待った。 ハンドルに気だるく手をかけ、口には煙草を咥えながら。 どうせまたくだらない用事なことは間違いない。 早く終わらせて仕事に戻りたいのだが……。 そんなことを思いながら吐き出した煙が車内に漂う。 暫く雑踏を眺めていれば、その中から真白な男が現れた。 外行きの服装なのか、白いアロハの上には毛皮のコートが羽織られ、大きめのサングラスに隠れた表情は読み取れない。 左馬刻は銃兎を見つけると当然のように助手席へと上がり込み息つく間もなく話し出す。 「銃兎ォ、やっぱお前最先端だわ。 」 そう言って銃兎にひとつの袋を突き出した。 「アァ? なんだ気色悪ぃ」 「いいから開けろって。 巷で流行ってるゆるキャラらしいんだけどよ、大好きだと思って買ってきてやったぜ。 これでぴょん吉に会えなくても寂しくねーぜェ?」 袋に入っていたのはひとつの縫いぐるみで、タグには《うさ〇る》と記してあった。 「このアホヅラ、ピョン吉そっくりじゃねェか? なあ? 」 「バカにすんじゃねェぞコノヤロォ!」 「いやぁJKに大人気のウサギのゆるキャラの名前ウサギにつけるとか、流石巡査部長殿、恐れ入ったわ!」 銃兎の車の中に響くケラケラとした男の笑い声と、響く甲高い怒号は車が出発するまで続いたという。 それからというもの左馬刻はことある事にニンジンとうさま〇るグッズを持って現れるのであった。 いらんと突っ返そうと思ったそのぬいぐるみは、結局うさまるが気に入って遊び相手になったし、銃兎の車にも居座るハメになったという。

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