'99年2月刊。 占星術に心理学の要素をもたらした、ユングの功績が膨大であるのは もちろんであるとはいえ、ユング自身は占星術に対し、どのようなアプローチをした のかを知りたく、レヴュアーは通読しましたが、読了後、本書の面白さはより多角的 なものであると判りました。 著者マギー・ハイドMaggie Hyde氏との共演機会を多く経験してこられた、 鏡リュウジ氏に拠る邦訳本。 古典から最新占星術迄に通じている方で、しかも本書の おもしろさを伝えようとの気鋭に満ちた、氏のような人物でなければ、本書をかく迄 にスリリングな日本語にはなしえなかったでしょう。 まずユングがプトレマイオスからアブ・マーシャルAbu Ma'shar、カルダンJ. Cardan 等、17世紀ウィリアム・リリー以前の古典占星術に通暁していた(p. 391)との 記述には正直、レヴュアーは驚きました。 常日頃からユングの事が念頭にある方でないと、 ここ迄は書けないだろう、という程の詳述ぶりです。 また著者自身の解釈はもとより、ディーン・ルディアDean Rudhyahからジェフリー・ コーネリアスGeoffley Cornelious迄が引用・紹介されるダイナミックさは、「西洋」 占星術の本場に身を置き、活躍なさっている、著者ならではのものでしょう。 チャート解釈を詳述した文章の多さも本書の大きな特徴で、ホロスコープの象徴を 一通り学習なさった方なら相当愉しめるでしょう。 Asc火星合のクライエントの逸話 (p. 323)等、普通に占星術の勉強に役に立ちそうなものが多数あります。 心理学や精神分析学の専門用語が大量に出てきますので、決して読みやすい本だとは思いませんが、心理占星術が占星術に何をもたらし、何が限界とされ、今後どう発展させていくことができるのか、ということについて、考えさせてくれる本ではないかと思います。 2~4章までは、ユングの人生と占星術をはじめとするオカルト的なものとの関わりについて、ユングや彼を取り巻く人々のホロスコープを通じて解説されています。 ユングが、フロイト的な精神分析学を受け継ぐ「皇太子」と見なされながら、オカルトに否定的なフロイトと徐々に離れ、独自の体系を作り上げていく様子が、鮮やかに説明されています。 5章では、心理占星術の意義について、伝統的占星術と比較しながら語られています。 次の6章では、ユングの観念を、著名な占星家がホロスコープの中でどのようなシンボルで捉えたか、という具体例が採り上げられます。 ここから、7章のシンクロニシティ(意味のある偶然)について話題が発展し、続く8章で、占星術において、シンクロニシティがどのような形で表れるかについて見ていきます。 9章、10章では、心理占星家がユングのシンクロニシティの観念に対し、どのように取り組んでいるかということを採り上げています。 最終章の11章で、著者は占星術の意義を、錬金術と例えて問うています。 そして、ユングが現代占星術に対して行った貢献を、今後どのように活用していくか、という問いかけをして結んでいます。 占星術研究家たちがユング心理学のさまざまな象徴言語とスキーマを用いつつチャートの解釈を行ない、それを「心の地図」として表現することは決して珍しいことではない。 本書の著者マギー ハイドはそれをさらに拡大 木星 すると同時に、解釈の伝統的な方法 土星 をもエギザルテーションへと導くという離れ業を成し遂げた。 メルクリウスはトリックスターであり、悪戯好きで主体と客体の関係を転倒させることなどお手のものだ。 たが、その行為は決してとりとめのない戯れ、言葉の遊びではありえない。 なぜなら、メルクリウスとは錬金術に関与するものだからだ。 マギー ハイドによれば、この黄金とは「シンボルの力、人の心を何らかのかたちで動かす力そのもの」に見出されるものである。 それは、日常のあらゆる瞬間に潜んでいる真に創造的ななにものかへの手掛かりであり、私達の人生をより生き生きとしたものにしてくれる筈だ。 本書の中で展開される解釈を傍観しているはずの読者自身さえもが、いつしかシンクロニシティの一部になってしまうのだ。 このような愉快な本を紹介してくれた鏡リュウジ氏に、心から感謝したい。
次の「オカルト」とは そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。 本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。 オカ研File No. おお!!アレン・レオ!いいところに注目してくれましたね!実はぼくもレオの再評価をすべきだと思っているんだよね。 まずは、個人的な思い出から。 今の若い占星術ファンの間ではどうかわからないけれど、僕が占星術を学び始めた70年代終わりから80年代ではアラン・レオの名前は伝説的な響きを持っていました。 日本で本格的に占星術を普及させたのは、ルル・ラブア先生の存在が大きいと思うんですが、その先達にあたるのは潮島郁幸先生らであったわけですが、その著書の大きなソースが、英国の占星術家マーガレット・ホーンのThe Modern Textbook of Astrology 1951 でした。 これは英国の占星術スクール「ファカルテイ・オブ・アストロロジカル・スタデイーズ」の教科書的な役割をはたしてきたんですね。 その流れをたどっていくとチャールズ・カーターがいて、さらにその前にアラン・レオがいる。 1915年にアラン・レオとその妻ベシイがイギリスに「神智学協会占星術ロッジ」を設立。 これが英国占星術教会を含め、現在、英国に存在するいくつもの主要な占星術団体の「母」になっているんですよ。 占星術コミュニテイなるものが存在するとしたら、実はアラン・レオこそその水源であるといっていいわけだよね。 それだけ重要な人物であるにもかかわらず、どうも、このところアラン・レオの旗色は悪いような気がしていたんですよ。 あとでお話しすることになると思うけれど、アラン・レオには現代的な視点からするとかなり「オカルト的」な色彩が強いから。 ときに「占星術の最大の敵は一部の占星術家たち自身だ」なんて表現もあって。 でも、そんな表現をしらないはずの、英国の占星術家ジェフリー・コーネリアス博士は、最近のニューヨークのセミナーのときに、占星術を「疑似科学」にしようとする人たちをさして「占星術の最大の敵は、占星術家」とはからずも同じフレーズを出して、ちょっと笑ってしまった。 立場を異にする占星術師から同じフレーズが出てきたのは面白いですね。 まさに。 それで、アラン・レオはまた気の毒なことに、伝統占星術をやる「伝統派」「古典派」といわれる人たちからも批判されることが多かったんだよね。 レオは占星術の歴史を断ち切って、それまでのルールや法則を簡略化しすぎてしまった、占星術を「改悪」してしまったのだ、というわけ。 まあ、今はあまり声高にそういう人はいないと思うけれど。 これはあくまでも僕のイメージですが、今日「占星術」という響きになんとなくロマンチックなものを想起するとすれば、それは間違いなくアラン・レオの影響だと思います。 「霊的な進化」ということを占星術の文脈で言い出した走りは彼ですからね。 一方、古典派というものは、現在「いかに当てるか」ということを大切にしているという風に理解されていますね。 言ってみれば、アラン・レオは、統計によってたつ科学主義者といわれる占星術師、古典派といわれる伝統的な占星術師の両方の立場から批判されがちな気の毒な人ということになるのかも。 実際、そういう批判者もレオがいなければたぶん存在しなかったと思うんだけど…。 レオのオカルト色…それはとりもなおさず、「神智学」だといっていいわけだけれど、神智学から脱しようという動きのもとにファカルテイやいくつかの団体が誕生していったわけですから。 もっとも、僕自身も若いころは前世やカルマがどうの、アストラル体が、というような「オカルト色」に戸惑っていたのです。 91年に書いた僕の心理占星術の入門書『魂の西洋占星術』では、心理占星術のパイオニアであるデイーン・ルデイアを「心理学というよりもオカルト的な方向に流れているようです」とさらりと流してしまっていました。 アラン・レオの著作物は、10代、20代前半の自分にとってオカルト過ぎたという印象があったな。 アストラル体がどうしたとか言い出してる。 けれど、リズ・グリーンはそこはほとんど排除してユング心理学の枠内だけの言葉でおさめていて、僕はそれに出会ってリズ・グリーンすげーっ!ってことになったわけです。 神智学の教義を「信じる」ことはないけれど、それを否定せずに系譜として冷静に消化する能力は20代の僕には、あるわけなかったんだよね。 アラン・レオが出てきた背景としては、19世紀末はご存じの通り、降霊術なんかが盛んに行われて心霊主義が台頭していた時代です。 キリスト教の求心力がなくなってきて、信仰の柱となるものは代わりにないのかということになり、スピリチュアリズムを背景にして、ロシア出身の霊媒だったブラヴァツキーの神智学協会がでてきて、「人間は霊的に進化しうる存在だ」と言う考えに多くの人が飛びついていった。 アラン・レオはそういう考えを、占星術を通してもっと一般の人に広めていこうとして、冊子を発行したり、1シリングホロスコープと銘打って安い値段でホロスコープ作ってそれを読んだものを送ってあげたりしてたんですよね。 儲けのためではなく、あくまで先の時代精神に応えようとする使命感をもってやっていた点が「占星術の父」と言われる所以だと思います。 それに100年以上経った今テキストを読み返しても古びてないと言うか、面白いんですよね。 それはやはり偉大です。 あと、近代占星術で一番大きい貢献をしたのは「太陽星座」を採用したことですね。 ブラヴァツキーの霊的な、不可視の太陽という意味合いで「太陽星座」を用いたようですが、その点について鏡さんはどう考えていますか? そう。 けれど、太陽星座占いというのは、簡便化された星占いとされてしまった感があるのが残念だよね。 もちろん、誕生日だけでわかる星座というのは便利だったし、1930年代以降のメデイア占星術では大きく普及していきます。 ただ、これはレオの没後のことです。 彼の思想の中核にあるのは、ソーラーロゴス。 ソーラーロゴスとは、宇宙には、キリスト教でいえばイエスのような存在、つまり、宇宙を司る根本原理があってそれが太陽なんだ、という考え。 この、目に見える太陽ではなく霊的な太陽があるという考え方は、新プラトン主義から連綿と続いてきたもの。 フィチーノらのルネサンス時期のオカルト復興を経由して、神智学協会が復活させたもの。 キリスト教ではない、古代から続くヨーロッパのスピリチュアルな系譜を継いだ上での「太陽星座」という話しなんだけど、「本当の占星術は雑誌の占いのように12星座だけじゃなくて、ホロスコープという細かいチャートを読む複雑なものです!」って言いたがる人たちからすると、太陽星座占いは単にインスタントな占いなだけ!というふうに大きく誤解されてしまったというわけ。 こんな残念さがアラン・レオにはあるんですよー。 気の毒(苦笑)。 占星術って本当はすごいんです!って言いたい文脈でみんなその言い回し使いますからね。 占いは統計学ですってのと二大巨頭。 あと、太陽の重要さを表そうとした指標としては、星座の記述をかなり内面的に書き換えていきましたよね。 牡羊座は毛むくじゃらで顔が赤いとか、そういう記述でした(笑)。 場所なら戦にいい場所です、とか、性格の描写では全然ないのは知らない人からすると意外なことだと思います。 ニック・キャンピオンも『世界史と西洋占星術』などで指摘しているところだけど、17世紀の大占星術家ウイリアム・リリーの代表的な占星術の教科書『クリスチャン・アストロロジー』を開いてみても、リリーは、800ページ以上もあるこの大部の著作のなかで、わずか半ページで牡羊座の記述をまとめてしまっています。 性格描写といえば享楽的、節度のない、乱暴な、たった3つの形容詞だけ。 あとは牡羊座がつかさどるものとしては「かつて家畜が餌を食べていたところ」「砂と丘」「泥棒の隠れ家」、とか、病気の種類とか。 むしろ、性格的な面でいえば惑星のほうがまだ記述は充実している。 19世紀末より前の占いは、それがすべてではないにしても、実際に探しものを当てるとか、そういう活用が主だったってことですね。 少なくとも性格判断ではない。 そこを継いでいるのが、いわゆる古典派の伝統占星術です。 (つづく).
次の心理占星術カウンセリングは、「ホロスコープ」と呼ばれる星の配置図をヒントに、その人の特性や傾向、運気を読み解き自分らしく輝ける方法を共に考えるセッションです。 占星術とは、いわゆる朝の情報番組で聞く星占いです。 ただ、その星占いは、お空にある10天体のうちの太陽が12星座のうちのどこにあるか、で語っています。 ここで言う占星術は、それよりかなり詳しく、10天体(太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星)が12星座(牡羊座~魚座)の中のどの星座の服をまとって12個(1ハウスから12ハウス)のどの部屋で働いてそれぞれの天体たちが、それぞれとどういう角度で関係しているかを読み解きます。 その読み解くものが生年月日と時間、場所から作り出される「ホロスコープ」と呼ばれる星の配置図です。 生まれた時のホロスコープは青写真で、世界でたった一つの自分だけの取扱説明書。 出生図のホロスコープではその人の持つ特性や傾向や運気などが読み解けます。 そして、その青写真の中の星たちと、今現在のお空の天体たちがどんな角度で関わっているかを読み、生まれたときの青写真にどんな彩りを付けているのか、または、今後どんな色を盛り込んだら自分らしく輝ける完成図になっていくのかを読み一緒に考えていきます。 ただ当たる当たらないの占いではなく、私の人生経験から培った知恵や知識、目に見えないものを感じ取る鋭い洞察力、直感力を駆使し、メンタルヘルス的な要素があるので心理占星術というセッションメニューになっています。 自分を知るということは、とても難しいことです。 苦しいとき悲しいとき、自分のことも嫌いになり、思い出したくないことやもう見たくないことも沢山あります。 でも、前を向いていくためにはまず自分を知らないと、これから先どうやって社会と関わっていけばいいのか、家族とどう関係すればいいのか、先に明かりが見えないんです。 星を通して、私は自分を知ることが出来ました。 そして、星が応援してくれることや、優しく叱ってくれることで成長に向かって行く原動力を得ました。 私が経験した、こんなに素晴らしい自分を応援できる星読みで、沢山の人に人間の可能性を追求してもらいたいと思っています。 私が読み解いた星からのメッセージをヒントに、一緒に人生という旅をしましょう。 ( 【セッションの流れ】 占星術で鑑定の後、星からのメッセージを受け取りやすくするための精油をブレンドします。 ブレンドしたアロマオイルをお持ち帰りいただきます。
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